研究課題
我々は、癌組織ではc-myc 遺伝子の転写抑制因子FIR(FBP interacting repressor)の転写抑制部位が欠損した複数のスプライシング変異体(FIRΔs)が高発現し、そのために癌では正常型FIR の機能が阻害され、その結果TFIIH/p89/ERCC3/XPB のDNA ヘリカーゼ機能を抑制できずにc-myc 遺伝子の持続的な賦活化が惹起されることを明らかにした。このように、癌における特定の遺伝子の高発現状態の維持や調節機構の破綻は、近年「がん遺伝子依存 (oncogene addiction)」と表現されている。本研究では、「がん遺伝子依存」の状態となっているタンパク質(ペプチド断片)を質量分析技術を用いて(抗体を用いない方法で)検出する方法を検討した。具体的には癌組織中に高発現しているFIR やFIRΔs、これらに結合する蛋白質複合体等の超微量核蛋白質を血液中に検出して、新規の腫瘍マーカー候補を同定する。すでに癌組織で高発現が確認されている蛋白質やペプチドを高感度に血液中に検出することにより、従来のバイオマーカーよりも感度・特異度ともに優れた癌早期診断法を開発することを目指した研究である。そのための方法論(質量分析装置や血清の前処理技術)も整備・確立されている。さらに、FIR によるアポトーシス誘導は「がんにおけるc-myc 遺伝子依存 (oncogene addiction)」を遮断することがその主な原因と考えられる。FIR によるアポトーシス誘導を利用した、FIR 遺伝子導入による癌治療の可能性についても検討した。
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