研究課題/領域番号 |
23591893
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
玉木 康博 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (10273690)
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研究分担者 |
島津 研三 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30448039)
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キーワード | 乳癌 / OSNA / センチネルリンパ節生検 / 術前化学療法 |
研究概要 |
研究1.【目的】乳癌術前化学療法(NAC)症例における腋窩リンパ節転移検索に対するOSNA法の有用性を検討する。【方法】平成23年9月より平成24年12月までのNAC施行原発乳癌70例に対して、摘出リンパ節(1症例最大4個)を4分割し、切片を交互に病理とOSNAにより検索した。病理検索はhemaoxyline-eosin染色(HE)とcytokeratin 19に対する免疫染色(IHC)により行った。【結果】OSNA法と、術中迅速診断および術後HE/IHCによる総合的病理診断との比較は233リンパ節で可能であった。OSNA-/病理-:169、OSNA-/病理+:8、OSNA+/病理-:11、OSNA+/病理+:45で、OSNA法の転移検出感度は84.9%、特異度は93.9%、一致率は91.8%、陽性的中率は80.4%、陰性的中率は95.5%であった。【考察】NAC症例では早期乳癌症例に比して感度がやや低いものの特異度と陰性的中率はほぼ同等であり、NAC症例においてもOSNA法によるリンパ節転移診断は十分可能であることが示唆された。 研究2.【目的】センチネルリンパ節(SLN)転移陽性早期乳癌症例での非センチネルリンパ節(nonSLN)転移予測におけるOSNA法の有用性を検討する。【方法】平成23年10月より平成24年12月までの357症例に対しセンチネルリンパ節生検を施行し、OSNA陽性例に対して腋窩郭清を追加した。【結果】98例に腋窩郭清が施行され、22例で非センチネルリンパ節に転移を認めたが、すべてOSNA5000copy以上のマクロ転移例であった。NonSLN転移と臨床病理学的因子との関連では、OSNA法によるcopy数のみが有意に関連を認めた(p<0.001)。【結語】OSNA法によるSLN転移CK-19copy数を用いたnonSLN転移予測モデルの可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の集積はほぼ予定どおりにできており、中間解析結果でもほぼ予測に近いデータが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
術前化学療法症例、N0早期乳癌症例ともに可能なところまで追加し、最終解析を行う。術前化学療法症例では、摘出されたリンパ節ベースでの解析を行うとともに、センチネルリンパ節生検施行症例における患者ベースでの解析を行い、OSNA法が病理法と同等の診断能を有するかどうか、術前化学療法症例でのセンチネルリンパ節生検転移検索に用いて安全かどうかの検討を行う。N0早期乳癌症例ではOSNA法によるCK-19 copy数と他の臨床病理学的因子を組み合わせ、非センチネルリンパ節転移予測式の作成を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
OSNA検査用試薬および消耗品を購入する。 データ解析と論文化の費用として使用する。
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