研究課題/領域番号 |
23591894
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30553276)
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研究分担者 |
片野 光男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
中村 勝也 九州大学, 大学病院, 助教 (60585743)
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キーワード | 制御性T細胞 / VEGFR2 / FOXP3 / 大腸がん / 予後予測因子 |
研究概要 |
制御性T細胞(Regulatory T cells:Treg細胞)は、様々な病態(自己免疫疾患や癌など)に対する新規治療標的として注目されている。本研究はTreg細胞の一部にVascular endothelial growth factor receptor-2(VEGFR2)が高い特異性を持って発現しているという発見 (Suzuki, Onishi et al, Eur J Immunol 2010)に基づき、VEGFR2を標的としたTreg細胞制御療法の開発を目的とした研究である。本年度は、前年度の未完成部分であるVEGFR2のTreg細胞における機能的意義の解析を中心に行った。次に、既存の薬剤によるVEGFR2+Treg細胞制御法の開発のため、既存の抗癌剤、抗体、シグナル経路阻害剤のVEGFR2+Treg細胞の増殖に及ぼす影響を網羅的に解析した。 VEGFR2+FOXP3+Treg細胞の臨床的意義解析の目的で、大腸癌治癒切除症例における腫瘍局所VEGFR2+Treg細胞数と予後との関連解析を行った。その結果、大腸癌組織局所のFOXP3+Treg細胞数は単独では予後規定因子とはなり得なかったが、VEGFR2+FOXP3+Treg細胞数は単独で、大腸癌患者の予後予測因子であるという結果を得た(Suzuki, Onishi et al, Clin Immunol, 2012)。このことは、VEGFR2+FOXP3+が、FOXP3+より強いTreg細胞のマーカーであることを強く示唆している。既存の薬剤によるVEGFR2+Treg細胞制御の実験では、COX-2阻害剤、bevacizumabおよびbaciliximabがIn vitroでVEGFR2+Treg細胞数を有意に抑制する結果が得られ、再現性や臨床的意義を現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果に記載したように、①大腸癌患者においてVEGFR2+Treg細胞の予後予測因子、治療標的としての意義を見出した。②さらに、抗体、シグナル経路阻害剤によってVEGFR2+Treg細胞が制御出来る可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
抗癌剤、抗体、シグナル経路阻害剤によるVEGFR2+Treg細胞の制御法を確立すると共に、VEGFR2関連抗原ペプチド及び抗VEGFR2抗体を作成し、25年度計画である動物レベルでの検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
VEGFR2関連ペプチド合成関連、VEGFR2抗体作成関連、免疫不全マウス関連、及び研究成果投稿料に研究費を使用させて頂く予定である。
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