研究課題/領域番号 |
23591895
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 晴生 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90585746)
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研究分担者 |
片野 光男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
大西 秀哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30553276)
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
白羽根 健吾 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (10529803)
宗崎 正恵 九州大学, 大学病院, 医員 (40610613)
久保 真 九州大学, 大学病院, 助教 (60403961)
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キーワード | ヘッジホッグシグナル / エストロゲンレセプターシグナル / 乳がん / 癌幹細胞 / CD24分子 / 浸潤能 / 増殖能 / 治療標的 |
研究概要 |
現在の乳癌治療は、個々のホルモンレセプター発現の状態に基づいて行われているのが現状である。我々は、乳癌の形態形成シグナル系を解析中、現在の治療選択の指標となっている乳癌の特性を超えて、二つのシグナル系;エストロゲンレセプター(ER)経路およびヘッジホッグ(Hh)経路が幅広い乳癌で機能している可能性を見出した。したがって、上記二つのシグナル系を標的とする包括的な乳癌治療法の開発の可能性を本研究の目的としている。昨年度は、①乳癌組織において9割以上の症例でHhシグナル系が活性化しており、Hhシグナル系がER発現に依存しない広範囲の乳癌に対する治療標的となる可能性、および②ERおよびHhシグナル系両者の阻害が、非浸潤性乳癌の浸潤癌への進展抑制、発癌予防として働く可能性を示唆する結果が得られた。 本年度は、①乳癌細胞株を用い特に幹細胞と考えられる分画(CD24陰性分画)において、シグナル阻害剤およびRNA干渉法により、Hh経路活性化が足場依存性増殖、足場非依存性増殖および浸潤能亢進に関与すること、②CD24分子発現とHhシグナル系分子発現に負の連関があること、および③ER陽性乳癌細胞においてはER経路がHhシグナル系の活性化機序の一つである、という結果を得てその再現性を確認した。また、免疫不全マウスに、RNA干渉法によりHhおよびERシグナル系を抑制した乳癌CD24陰性分画の細胞を皮下移植する系を用い、両シグナル系が乳癌の包括的な治療標的となる可能性を示す実験を現在実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果に記載したように、①幹細胞と考えられる分画(CD24陰性分画)においてHhシグナル活性化が足場依存性増殖、足場非依存性増殖および浸潤能亢進に関与すること、②CD24分子発現とHhシグナル系分子発現に負の連関があること、および③ER陽性乳癌細胞においてER経路がHhシグナル系の活性化機序の一つであること、を見出し、ER/Hh両シグナル系が包括的な乳癌治療法である可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在施行中である、免疫不全マウスにRNA干渉法によりHhおよびERシグナル系を抑制した乳癌CD24陰性分画の細胞を皮下移植する実験を継続し、in vivoにおいて両シグナル系が治療および予防のための標的となる可能性を示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫不全マウス、細胞機能解析関連(ノックダウン用siRNA、FACScan関連)に研究費を使用させて頂く予定である。
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