研究課題
我々は、乳癌の形態形成シグナル系を解析中、現在の治療選択の指標となっている乳癌の特性を越えて、二つのシグナル系[Estrogen receptor経路およびHedgehog(Hh)経路]が幅広い乳癌で機能している可能性を見出した。したがって、現在の治療戦略とは異なった上記二つのシグナル系を標的とする包括的な乳癌治療法および予防法の開発を本研究の目的とした。昨年度は、1、乳癌の幹細胞と考えられる分画(CD24陰性分画)においてHh経路の活性化が足場非依存性増殖および浸潤能亢進に関与すること、2、CD24分子発現とHhシグナル系分子発現に負の連関があること、および3、ER陽性乳癌細胞においてはER経路がHhシグナル系の活性化機序の1つであることを確認した。本年度は、1、CD24分子発現とHhシグナル系分子発現の負の連関のメカニズムを解析し、CD24陰性分画においてHhシグナル系のligandであるsonic Hh(Shh)が亢進しており、これによりCD24陰性分画のHhシグナルが活性化し、足場非依存性増殖および浸潤能が亢進する可能性を見出した。2、次に免疫不全マウス移植系において、Shhを抑制したCD24陰性乳癌細胞を投与した群で、Shhを抑制しないCD24陰性乳癌細胞を投与した群と比較し、腫瘍形成能および腫瘍増殖能が有意に低下することを確認した。3、さらに、CD24陰性分画細胞でShhが亢進する原因として、DNAマイクロアレイ解析により、上流の転写因子が関与する可能性を見出し、今後、解析する予定である。
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Anticancer Research
巻: 34(1) ページ: 69-80
http://www.tumor.med.kyushu-u.ac.jp/