研究課題
ホルモン受容体 (HR)+/HER2―乳癌に対する術後補助療法として、ホルモン療法のみでよいのか、あるいは化学療法を必要性とするのか、その判断に有用なバイオマーカーの確立は現在最も重要な課題である。この研究の目的は、HR+/HER2―乳癌に対して必要最小限で最適かつ効果の高い治療を提供するために、ホルモン治療感受性の分子機序を解明し、ホルモン感受性予測に有用なバイオマーカーを同定することである。1)我々は日本人乳癌においてもGATA-3、FOXA1、AR発現が良好な予後と関連することを確認した。また、GATA-3よりもFOXA1の方が術後内分泌療法の効果を予測するバイオマーカーとしての意義が大きいと考えられることを明らかにした。2)FOXA1, GATA3発現とホルモン感受性との関連を調べるために、術前ホルモン療法を施行された症例を集積し、治療開始前、手術施行時の標本をそろえ、発現解析を行ったところ、術前ホルモン療法により、GATA-3の発現に変化はないものの、FOXA1の発現低下が認められることを見いだした。FOXA1発現低下は術前ホルモン療法後の予後因子として考えられているPEPI scoreの低いもので著明に認められた。内分泌療法により認められたこの現象を、ER陽性乳癌細胞株を用いて確認した。以上より、FOXA1はHR陽性乳癌の予後のみでなく、ホルモン療法感受性にも影響を及ぼす重要な因子であることが示唆された。3)PI3K/Akt経路の活性化はホルモン抵抗性に関与していると考えられる。原発性乳癌においてPIK3CA変異、HER2陽性、PTENの欠失とAktの活性化が関連していること、HR陽性乳癌においてはAkt活性化症例で全生存期間、再発後生存期間が短いことを示し、Akt経路の活性化がホルモン抵抗性に関連している可能性を確認した。
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