研究課題/領域番号 |
23591897
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白羽根 健吾 九州大学, 大学病院, 助教 (10529803)
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研究分担者 |
田中 雅夫 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30163570)
大塚 隆生 九州大学, 大学病院, 助教 (20372766)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 乳癌 / 間様系幹細胞 |
研究概要 |
乳癌の再発・転移に対する治療はいまだ困難であり、死亡率の低減化には至っていない。最近、間葉系幹細胞が癌細胞を支持するニッチと成り得ることが報告された。本研究では乳癌の治療抵抗性や遠隔転移に関わる間葉系幹細胞 (Mesenchymal Stem cells; MSC)を特定し、その役割を解明した上で乳癌の新たな治療戦略を創造することを目的とする。MSCの特徴は分化能と自己複製能である。癌細胞のニッチ形成に寄与しているのであれば、癌組織に遊走してきたMSCが自己複製を繰り返し残存している可能性がある。本年度はまず切除症例からのMSCの樹立手技の確立を目指した。ここでは、当研究室で多数所有する膵癌切除組織を用いた。膵癌は乳癌と同じDesmoplasiaを特徴とし豊富な間質を有しており、MSCの樹立には非常に適した疾患と思われる。当研究室でヒト膵癌組織から樹立した膵星細胞およそ50株以上を用い、MSCのマーカーとされているCD10、CD29、CD44、CD90、CD105、CD117、CD271、Stro-1などの多数の表面マーカーの発現解析を行った。各発現状況を確認し、現在CD10、CD105、CD271、Stro-1での分取を目指している、この中でCD10が悪性度に寄与する因子であることを確認した。それは大腸癌においても同様であった。CD105は分取後早期に発現状況が均一化した。CD271は発現状況が極めて微量であり、分取標的としては難しいと考えられる。各発現状況は明らかとなってきたが、いまだ分取すべき明確な標的抗原を確立できてはいない。さらに解析をすすめ、表面マーカーを組み合わせた上でのMSCの分取を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在MSCの切除組織からの樹立を目指している。切除組織由来間質細胞における各表面抗原の発現状況把握は、癌間質相互作用の解明に大きく寄与しているが、いまだ明確な標的抗原を同定できておらずMSCの分取技術の確立に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
MSCの樹立後、乳癌細胞株との共培養を行うことで寄与する因子や条件などの同定を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は当初から続けている表面抗原解析を続ける。その上で、そのモノクローナル抗体を購入あるいは精製し、手術切除組織からその細胞分画の純化へと作業を進める。また純化後、乳癌細胞株との共培養を行うことで寄与する因子や条件などの同定を進める。
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