研究課題/領域番号 |
23591898
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60452900)
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研究分担者 |
高森 啓史 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (90363514)
大村谷 昌樹 熊本大学, 大学院先導機構, 特任助教 (60398229)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 膵癌 / PSTI / SPINK1 / 分子標的治療 |
研究概要 |
【1.膵癌培養細胞株とPSTIモノクローナル抗体との親和性の確認】既存のPSTIモノクローナル抗体を標識し、膵癌細胞株PANC-1およびMiaPaCa2について、親和性を免疫染色にて確認した。いずれの細胞株も同等に良好な親和性を示した。【2.PSTIモノクローナル抗体投与時の抗腫瘍効果の確認】上記の既存のPSTIを、膵癌細胞株PANC-1およびMiaPaCa2の培養液中に投与して、細胞増殖に与える影響をクリスタルバイオレットアッセイにて検討した。現在、指摘濃度の設定を行なっている。【3.ヌードマウスにヒト膵癌細胞を移植したモデルを用いての抗腫瘍効果の確認】ヌードマウスにPANC-1およびMiaPaCa2を移植した膵癌モデルマウスの作成中である。また既存のPSTIモノクローナル抗体をマウスに投与した時の毒性を、特に急性膵炎が惹起されないかどうかに注目しつつ観察している。【4.正常膵組織とのPSTIモノクローナル抗体との親和性の確認】既存のPSTIモノクローナル抗体を用いて、ヒト非癌部膵組織およびマウス膵組織の免疫染色を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のPSTIモノクローナル抗体と、膵癌細胞株との親和性が確認できた。これは、これまでの仮説に沿うものである。つまり大腸癌における抗EGFR抗体と同様の効果が規定できる可能性が認められた。今後は抗腫瘍効果、つまり細胞増殖抑制のために必要な濃度設定等行う。ヒト膵癌モデルマウスの樹立はほぼ可能であった。現在、野生型マウスにPSTIモノクローナル抗体を投与した時の毒性の観察を行なっているが、急性膵炎の発症はない。正常膵組織との親和性も認められるが、同一患者においては正常膵組織より癌組織により強い親和性があるようである。これは急性膵炎を起こさないレベルで、かつ癌組織に十分な濃度でモノクローナル抗体を暴露させることができる可能性を示している。
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今後の研究の推進方策 |
【既存PSTIモノクローナル抗体を用いての抗腫瘍効果の確認】(1.)膵癌培養細胞株とPSTIモノクローナル抗体との親和性の確認。細胞株数を増やし、普遍的に膵癌に対して親和性を示すのかどうかの確認が必要である。(2.)PSTIモノクローナル抗体投与時の抗腫瘍効果の確認。抗腫瘍効果を示す指摘濃度を設定し、vivoでの実験での基礎データとする。(3.)ヌードマウスにヒト膵癌細胞を移植したモデルを用いての抗腫瘍効果の確認。急性膵炎を起こさない濃度のモノクローナル抗体を投与した時の抗腫瘍効果の有無を確認する。(4.)正常膵組織とのPSTIモノクローナル抗体との親和性の確認。症例サンプルを増やし、同一患者内での正常膵と癌組織の親和性の比較を行う。【ヒトPSTIモノクローナル抗体の新規作成】現在のところ既存のモノクローナル抗体のあきらかな抗腫瘍効果は確認できていない。そこで、あらたな抗PSTIモノクローナル抗体の作成を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験試薬および機器、実験動物(ヌードマウス)、動物飼育代等の実験に必要物品の購入費が必要である。
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