研究課題
【目的】CRMPs(collapsin response mediator proteins)が乳癌においての予後因子,悪性度評価因子となるかを検討すること.近年CRMPsが癌の診断,悪性度や予後に関連しているとの報告が散見される.しかしその詳細なメカニズムは不明であり,乳癌との関連性を報告した研究は現在のところない.【本研究の方法とその成果】①24症例の手術既得検体を使用し,mRNAレベルでのCRMPs発現を定量化する.成果:定量的RT-PCRではCRMP1からCRMP5までの5つのサブタイプに内,CRMP2のmRNAのみが正常乳腺と乳癌において発現に差を認め乳癌において有意に発現低下を認めた.②組織マイクロアレイ(以下TMA)の作製による乳癌臨床病理学的因子とCRMP蛋白発現の相関の検討.多数例を一度に同じ条件で免疫染が行えるTMA技術を使用し、CRMP2の免疫染色を施行し臨床病理学的因子との相関を検討する.またリン酸化CRMP2の免疫染色も同時に施行し、CRMP2シグナル伝達の乳癌への関与を考察する.成果:正常乳腺に比べて乳癌において蛋白レベルでもCRMP2の発現低下を認めた.またリン酸化CRMP2は乳癌において発現上昇を認めその局在は乳癌細胞の核内であった.またCRMP2のリン酸化は乳癌の悪性度が高い症例ほど有意に多く認めた.最終年度に実施した研究の成果は上記結果を論文化,また2014年の乳癌学会にて発表した.当初の計画予定であった細胞実験やタキサン系の薬剤感受性とCRMP2の関係解明に関しては研究に使用する試料不足のため結果には至っておらず今後の研究課題としている.本研究の意義はCRMP2と乳癌に関する関係性を初めて報告した研究であり,またCRMP2とそのリン酸化亢進が乳癌の悪性度に関与していることを初めて解明したことにあると考えている.
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Breast Cancer. 2013 Feb 5.
巻: 7(5) ページ: 1333,13340
10.1007/s12282-013-0447-5