研究課題/領域番号 |
23591901
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉本 信保 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10551244)
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研究分担者 |
山下 啓子 北海道大学, 大学病院, 教授 (70332947)
遠山 竜也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30315882)
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キーワード | エストロゲン依存性乳癌 / 遺伝子多型 / 血清バイオマーカー |
研究概要 |
エストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌患者730例と健常者270例を対象とした。疫学因子は、ER陽性乳癌は健常者に比べ、閉経前では飲酒歴あり(p=0.0550)、喫煙歴あり(p=0.0830)の割合が高い傾向にあった。閉経後では授乳した子供の数が有意に少なく(p=0.0012)、body mass index (BMI)が高い傾向(p=0.0550)にあった。一塩基多型は、閉経前ではrs10046(CYP19A1, p=0.016)とrs3803662(TNRC9, p=0.019)が、閉経後ではrs6905370(ESR1, p=0.033)とrs1042522(TP53, p=0.045)が、有意差を認めた。血清バイオマーカーは、ER陽性乳癌患者は健常者に比べ、閉経前ではテストステロン(p<0.0001)、プロラクチン(p<0.0001)、プロラクチン(p<0.0001)が有意に高く、閉経後ではエストラジオール(p=0.0005)、テストステロン(p<0.0001)、プロラクチン(p=0.0070)が有意に高かった。マンモグラフィ濃度は差を認めなかった。 以上より、日本人女性ER陽性乳癌罹患ベストモデルを構築した。 閉経前は、logit{ER(+)}=+0.0362(年齢)+0.499(妊娠回数)-0.124(授乳)+0.110(飲酒)+0.110(CYP19A1 rs10046 CT+TT)-0.00578(CYP19A1 rs10046 CC)+0.811(テストステロン)+0.00337(プロラクチン)+0.134(IGFBP3)となった。閉経後は、logit{ER(+)}=+0.120(年齢)+0.0141(BMI)-0.0195(閉経年齢)-0.198(p53 rs1042522 CC)+0.395(テストステロン)+0.00277(IGF1)となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の通り、閉経前・閉経後に分けて、疫学因子、遺伝子多型、血清バイオマーカーそれぞれで、日本人におけるエストロゲンレセプター陽性乳癌罹患因子を同定した。これらの結果をもとに、日本人におけるエストロゲンレセプター陽性乳癌罹患ベストモデルを閉経前・閉経後それぞれで構築しえた。また、これらのデータから、マンモグラフィ濃度を予測するモデルも構築した。
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今後の研究の推進方策 |
今回構築したエストロゲンレセプター陽性乳癌罹患リスクモデルの正確性を別のコホート(エストロゲンレセプター陽性乳癌患者、健常者)と用いてvalidation studyを行い評価をする。このモデルにてエストロゲンレセプター陽性乳癌罹患後高危険群とされた健常者に対し、ラロキシフェンの予防効果についての検討を行う。ランダム化III相試験が必要と考えられ、当院臨床試験倫理委員会申請、臨床試験参加者のリクルート方法、データの集積方法などの準備を行う。またこれらのデータから、遺伝子多型がエストロゲンレセプター陽性乳癌の易罹患性に関与するメカニズムの解明を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記validation studyの対象となった被験者の、遺伝子多型・血清バイオマーカーの測定に、研究費を使用する。遺伝子多型の解析のための試薬代、外部委託による血清バイオマーカー測定費用、それぞれに使用する予定である。
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