研究課題
エストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌患者730例と健常者270例を対象とした。疫学因子は、ER陽性乳癌患者は健常者に比べ、閉経前では飲酒歴あり(p=0.0550)、喫煙歴あり(p=0.0830)の割合が高い傾向にあった。閉経後では、授乳した子供の数が有意に少なく(p=0.0012)、BMIが高い傾向にあった(p=0.0550)。一塩基多型は、閉経前ではrs10046(p=0.016)とrs3803662(p=0.019)が、閉経後ではrs6905370(p=0.033)とrs1042522(p=0.045)が有意差を認めた。血清ホルモンでは、ER陽性乳癌患者群は健常者群に比べ、閉経前ではテストステロン(p<0.0001)、プロラクチン(p<0.001)が有意に高く、閉経後ではエストラジオール(p=0.0005)、テストステロン(p<0.0001)、プロラクチン(p=0.0070)が有意に高かった。マンモグラフィ濃度は、両群間に差を認めなかった。以上より、閉経前・閉経後それぞれにおける、日本人女性ER陽性乳癌罹患モデルを構築した。閉経前は、logit{ER(+)}=+0.0362(年齢)+0.499(妊娠回数)-0.124(授乳)+0.110(飲酒)+0.110(rs10046 CT+TT)-0.00578(rs10046 CC)+0.811(テストステロン)+0.00337(プロラクチン)+0.134(IGFBP3)となった。閉経後は、logit{ER(+)}=+0.120(年齢)+0.0141(BMI)-0.0195(閉経年齢)-0.198(rs1042522 CC)+0.395(テストステロン)+0.00277(IGF1)となった。モデルに採用された因子は、それぞれにおけるER(+)乳癌罹患の危険因子と考えられた。
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