研究課題/領域番号 |
23591903
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田口 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80243260)
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研究分担者 |
阪口 晃一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00405284)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 手足症候群 / capecitabine / 副作用 / ウラシル / 軟膏 / 5FU / 予防 / 再発乳癌 |
研究実績の概要 |
Capecitabine(CAP)による副作用である手足症候群(HFS)の予防と治療に効果のある外用剤(軟膏)を開発することを目的として、HFSの主たる原因と考えられている細胞傷害性(抗腫瘍性)を有するCAPの代謝産物である5FUと5FU代謝物の産生がブロック可能なウラシルを3%含有する軟膏を作製した。作製したこのウラシル軟膏を使い、健康成人男性ボランティア5名を対象に両手掌への軟膏塗布による第I相試験を行った。その結果、6日間の連続塗布によっても、軽微な皮膚炎等の発生もなく、有害事象は確認できなかった。また、血中のウラシル濃度を測定したが塗布前と塗布後では血中濃度に変化は無く、血中への移行が起こらないことが判明した。結論として、3%ウラシル軟膏は、十分に安全でかつCAPの治療効果を減弱させる可能性も低く、ヒトへの投与が可能であることがわかった。 この第I相試験の結果を踏まえ、3%ウラシル軟膏の有効性と安全性を検証する第II相臨床試験を実施した。倫理的観点から前向きの単アーム試験を実施し、再発乳癌患者を対象にCAP投与(2週間投与、1週間休薬の3週間1コース)と同時に3%ウラシル軟膏を手掌と手背に塗布し、第2コース以内あるいは第3コース以内にグレード(G)2以上のHFSが発生する率を主要評価項目とした。30症例が症例登録され(登録完遂率100%)、うち29例が評価された。その結果第2コース以内と第3コース以内ではそれぞれ35.3%と50%の症例でG2以上のHFSが発生した(平均2.2コース)。これはCAPの国内開発第Ⅱ相試験における第2コース以内にG2以上のHFS発生率が75.3%であったことに比べ低頻度であった。 このようにウラシル軟膏塗布によりCAP誘発HFSの発現を予防できる可能性が明らかになったが、真に有用性を確認するためには今後第Ⅲ相比較試験を実施することが望ましいと考えられた。
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