研究課題/領域番号 |
23591904
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
横山 省三 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90398462)
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研究分担者 |
堀田 司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50244744)
瀧藤 克也 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (00254540)
松田 健司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30398458)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
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キーワード | CEACAM1 / 大腸癌 / 腺管形成 / 癌幹細胞 / 抗癌剤感受性 |
研究概要 |
大腸癌発育先進部に浸潤性に形成する腺管のがん幹細胞分化および抗癌剤感受性におけるCEACAM1 isoform balanceの役割について検討するため、CEACAM1の発現およびisoform balanceによるがん幹細胞分化および腺管形成能、5FUの感受性について臨床的基礎的に検討している。現在までに臨床的には、化学放射線未施行例において直腸間膜内における浸潤性に存在する腺管形成が再発に関与する可能性があることが示唆された。今後さらに放射線抗癌剤感受性を直腸癌術前化学放射線療法の手術検体をもちいて直腸間膜内における浸潤性に存在する腺管形成が、放射線や抗癌剤感受性に抵抗性であるか否かを検討する予定である。5FU感受性について、CEACAM1 short cytoplasmic isoformの強制発現にて5FU感受性が増強することが示され、CEACAM1 long cytoplasmic isofrom の強制発現にて5FUに対して抵抗性となることが観察された。また、3次元培養における管腔形成が5FU抵抗性の表現型であることが観察された。CEACAM1とがん幹細胞との関連について、大腸癌発育先進部間質のCEACAM1発現する中空を伴う球体がCD133を発現することから、CEACAM1の発現変化が、がん幹細胞の分に関連すると考えられる。大腸癌培養細胞HT29 またはLS174TのCEACAM1の発現を変化CD133、CD44、EpCAMの発現細胞数を定量的に評価し、CEACAM1の発現がCD44の発現およびALDH活性を誘導する可能性が示唆された。現在さらに、CEACAM1の発現およびisoform balanceによるがん幹細胞分化誘導および腺管形成能との関連について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに臨床的には、化学放射線未施行例において直腸間膜内における浸潤性に存在する腺管形成が再発に関与する可能性があることが示唆された。今後さらに放射線抗癌剤感受性を直腸癌術前化学放射線療法の手術検体をもちいて直腸間膜内における浸潤性に存在する腺管形成(組織形成)が、放射線や抗癌剤感受性に抵抗性であるか否かを検討する予定である。抗癌剤感受性については術後補助化学療法を施行するStage III大腸癌においてCEACAM1発現hollow spheroidが再発や予後に関連することまた基礎的に5FU感受性について、CEACAM1 short cytoplasmic isoformの強制発現にて5FU感受性が増強することが示され、CEACAM1 long cytoplasmic isofromの強制発現にて5FUに対して抵抗性となることが観察され、CEACAM1が抗癌剤の感受性に関与することが示された。また、CEACAM1の発現により、癌幹細胞のマーカーであるCD44の発現およびALDH活性の増強が認められ、CEACAM1が癌幹細胞様特性の誘導に関与する可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
手術可能直腸癌に対し化学放射線療法を施行し、この手術摘出標本を用いてCD133, CD44, EpCAMの免疫組織化学にてがん幹細胞の存在およびその化学放射線療法抵抗性を検討する。大腸癌培養細胞HT29に CEACAM1-4LまたはCEACAM1-4Sを強発現するstable line、またCEACAM1-4Lを強発現する大腸癌培養細胞LS174TにCEACAM1-4Sを強発現するstable lineとCEACAM1 shRNA plasmidによりCEACAM1を発現抑制したstable lineについて、CD133、CD44、EpCAMの発現細胞数を定量的に評価し、がん幹細胞のCEACAM1isoform balance変化によるがん幹細胞の分化誘導について検討する。さらに、flow cytometryにてCD133、CD44、またはEpCAMの陽性陰性細胞をsortし、CEACAM1-4LまたはCEACAM1-4S強発現株およびCEACAM1 knock downのcell lineについて3次元培養にて腺管形成について検討し、CEACAM1の発現およびisoform balanceによるがん幹細胞の腺管形成能との関連について検討する。さらにNOD/SCIDマウスの直腸orthotopic modelにおいて、腫瘍増殖および組織形成、浸潤についてin vivoで検討する。先述のCEACAM1遺伝子を導入、遺伝子抑制したstable cell linesを用いて、をflow cytometryでCD133、CD44、またはEpCAMの陽性細胞を分離し、大腸線維芽培養細胞CCO-18Co(American Type Culture Collection)を同時に直腸粘膜に移入し、3週間後に腫瘍を摘出し、組織形態と筋線維芽細胞の誘導について病理組織学的に評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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