研究概要 |
変異型KRAS、変異型EGFRを標的とした免疫療法を開発するために、健常者の血液を用いて、変異型KRAS、変異型EGFR由来ペプチドのCTL誘導能を検討した。具体的には、1.変異型KRAS(G12V, G12R, G12D, G12C, G13D)、変異型EGFR(exon21 L858R、exon19 E746-A750del、T790M)からモチーフ検索プログラムを用いて、突然変異配列を含み、かつ、HLA-A24, HLA-A2, HLA-A11に結合すると予測されるペプチドを21種類選択した。2.HLA-A24, HLA-A2, HLA-A11を強制発現した細胞株(T2細胞あるいはRMA-S細胞)を用いて、合成ペプチド21種の各HLA分子への結合能を解析した。1種のペプチドがHLA-A24に、6種のペプチドがHLA-A2に、7種のペプチドがHLA-A11に結合することが確認された。3.HLA-A24陽性健常者3人の末梢血T細胞を、HLA-A24への結合能が確認された合成ペプチド(1種)と共培養したが、ペプチド特異的なCTL株を誘導できなかった。HLA-A2陽性の健常者5人の末梢血T細胞を、HLA-A2への結合能が確認された合成ペプチド(6種)と共培養したところ、5人中2人において2種のペプチドに対する特異的なCTL株を誘導できた。現在、この誘導したペプチド特異的CTL株を用いて各種癌細胞株を標的とした機能解析(51Cr遊離試験)を実施中である。また、同様にHLA-A11陽性の健常者血液からペプチド特異的なCTL株を誘導できるかどうか検討中である。4.EGFR T790M変異に特異的なCTL細胞株の機能解析を実施するために、EGFR T790M変異を有する細胞株(NCI H1975)にHLA-A2遺伝子をtransfectした細胞株を作製した。
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