研究課題/領域番号 |
23591915
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩崎 昭憲 福岡大学, 医学部, 教授 (50248506)
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研究分担者 |
森山 茂章 福岡大学, 工学部, 准教授 (00299538)
増本 幸二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343329)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 実験外科学 / 外科教育ヒューマノイド |
研究概要 |
(1)生体臓器を模擬するために光造形によるモデリングを試みた.その結果,三次元CTデータから臓器を抽出し,軟質材料において形状を再現することに成功した.また成形樹脂を変更することにより,弾性係数を変化させることも可能であった.生体を模擬するためには表面色が重要であるが,光造形樹脂の着色は困難である.そこで着色を試み,ある程度実際に近い色とすることができた.体表面に用いる被覆予定のシリコン人工皮膚の材質改善を行ってコスト削減との両面で検討を行っている.(2)目標にしていたヒューマノイド・ロボット体型的なものが技術的な面での克服できることを確認できた.これらに内包される予定の多くの臓器(心臓、肺、縦隔、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、婦人科、整形外科)をより生体に類似した質感、解剖学的特性、関与している血管の連携、大きさなどの調整に取り組んでいる. 現在までに見通しができている精度の高い肺を手本に随時改良を行っている段階である.(3)各領域の手術手技の画像データの収集をほぼ終了し、現在各専門分野の医師からの意見を集め手術教育用ヒューマノイドに反映させる教育訓練のポイントを再現できるように調整を始めている.(4)研究の進行に伴い関連論文として4編の実績報告を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人間を模範としてそれに近づくことを目標にし、設計しているヒューマノイド・ロボットを用いて、医療教育に使用するという目的は現在各種臓器構造を作成中であり、生体臓器を模擬するために光造形によるモデリング、軟質材料の形状再現の成功、生体を模擬するための光造形樹脂の着色による成功で実際に近い臓器色とすることができた.このように技術的な面で克服できており、おおむね順調に研究は推移している.
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今後の研究の推進方策 |
(1)随時作製した精巧な各臓器の耐久性を評価し改良を続けていく.また同時に各臓器を一体化するための連結にめどを立て動力的な連結を行う技術的、経済的な基盤が組み込めるか検討を行っていく.すなわち手術操作による過度の力が模擬臓器に加わり、模擬血管から出血した場合など不適切な手術操作を圧センサーで感知する仕組みを取り入れる.したがって圧センサーなどの研究にも労力を注いでいく.(2)全国の教育臨床施設に供与し、実際の各領域内視鏡手術やda vinci surgery教育に向けさらに改良を行う.プロトタイプを海外での評価を受けるため韓国や台湾、シンガポールの連携病院のセミナー使用に早期に持ち込んでいく.同時に企業創出の可能性を検討する.(3)各種セミナーや市民講座にも展示の機会を設けて、最新手術を容易に体験できることで医師との相互理解を進めるために具体的に展開を図る.(4)一体型多臓器装備教育モデルを広い分野の手術教育に使用し、その有用性を学会や論文で示していく. 専門医取得のためのセミナー、技術認定医制度での使用、ロボット手術の技術評価への応用を行うことで安全教育の取り組みを国民に発信する.
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次年度の研究費の使用計画 |
子宮、前立腺、腎臓、肝臓、消化管などの臓器特異的な、耐久性のある材質を用いた臓器作成の費用に充てる.またモデル内に装着する駆動装置の組み込みや各パーツの組み立て調整に繰り越した費用を配分する.2~3体を作製した上で順次供与日程を決め、評価項目を設定し専門分野での有用性の評価を始める.また耐久性や経済性について検討を行った後、海外に運び評価を受けるための運送費や研究者らの交通費に配分する. ヒューマノイド・ロボットによる手術修練向上プログラムを作成し最新技術の広報を行うため研究成果の一部発表を行う. 連携企業の参加を募り、研究の発展を図る.
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