研究課題/領域番号 |
23591917
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤野 明浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50306726)
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研究分担者 |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
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キーワード | リンパ管腫由来内皮細胞 / モデル動物作成 |
研究概要 |
重症・難治性のリンパ管腫は良性疾患とされるが有効な治療法はなく、患者のQOL改善のため世界中で新たな治療法開発が待たれて久しい。我々はリンパ管腫切除組織より初代培養して確立したリンパ管腫由来リンパ管内皮細胞株の全てが、NOGマウスへの移植によりリンパ管腫様組織を形成することが確認された。このマウスをリンパ管腫モデル動物として確立し、市販の正常リンパ管内皮細胞を対照としてすでに蓄えている細胞株の遺伝子発現プロファイルの特徴を元にその性質を検討する。最終的にモデル動物として活用するためには病変の視覚化が問題となってくるが、培養細胞を不死化し、また蛍光蛋白発現をさせることにより、この問題を解決できる。 現在までに、リンパ管腫組織より、リンパ管内皮細胞の初代培養を確立する手法を決定。どの細胞株もリンパ管内皮としての特性を保持しつつ、疾患独自の性質(未公表)を示すことも明らかとなった。同時に遺伝子プロファイルを確認したが、疾患由来細胞に共通して異常発現を認める遺伝子が多数発見された。これらの機能は逐一解析する必要があるが、現時点では、もっとも影響が大きいと考えられる、転写因子につき、定量的PCRにて発現の差を確認が出来たため、遺伝子ノックダウン、遺伝子導入の準備としてプラスミドヴェクターを作成した時点まで進んでいる。平成25年度のうちにLoss of functionの実験結果が出ると思われ、公表したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属施設の異動に伴い、再度実験システムを立ち上げる必要があった。その分実験に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
システムは整ったので、予定通りリンパ管腫由来リンパ管内皮細胞への蛍光タンパク質の導入を開始する。 すでに遺伝子プロファイルより疾患と関連が疑われる遺伝子が列挙されており、それらを正常リンパ管内皮細胞に遺伝子強制発現することにより、遺伝子機能を解析する。またリンパ管腫由来細胞において遺伝子発現をsiRNAを用いてノックダウンすることにより意義を解析する。それぞれの遺伝子変異株をNOGマウスへ移植することにより性質の変化を知ることが出来る。今後2年の研究期間内に結論を出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たな細胞株の作成、コントロール細胞、免疫染色に関わる抗体、移植に用いる動物等の購入。変異遺伝子ベクター作成や検討が困難な場合には外注を行う可能性もある。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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