研究課題/領域番号 |
23591918
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森 幹人 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90399452)
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研究分担者 |
阿久津 泰典 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (00375677)
川平 洋 千葉大学, フロンティアメディカル工学開発研究センター, 准教授 (90447285)
鈴木 一史 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00586737)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
本研究計画はこれまでにまだ解明されていない食道癌におけるmiR-203を介した癌細胞のstemnessあるいは転移におけるEMTのメカニズム、腫瘍免疫のメカニズム解析の基礎研究を行い、この基礎研究成果により得られたデータを利用し、食道癌の悪性度診断ならびに放射線・化学療法の治療効果の増強を目的とした創薬開発へといった臨床応用へ発展の足がかりとしての基礎研究基盤を設立することを最終目標としている。具体的には、以下の3つの項目の検証実験を予定した。(1)miR-203の発現制御に関与しているとされているZEB1・ZEB2・Snail1などの遺伝子発現量とタンパク質発現量の検証を行う。(2)miR-203が標的としている癌細胞のstemness、EMTおよびサイトカインに関与する遺伝子群の同定を行い、その発現・機能解析を行う。(3)食道癌患者のmiR-203および関連タンパク質の血清中濃度と悪性度の関連性を探索し検証を行う。以上の3項目に関して平成23年度の研究実施計画として行われた実験は、主に(1)のmiR-203の転写制御に関わる遺伝子・タンパク質の食道癌における発現・機能解析の検証ならびに(2)のmiR-203が発現制御しているStemness・EMT・サイトカインに関与する遺伝子群を同定し、その遺伝子・タンパク質の食道癌における発現・機能解析の検証をRT-PCR、免疫染色ならびにWestern Blot等の分子生物学的手法を用いて検証することであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに(2)の研究項目であるmiR-203が標的としている癌細胞のstemness、EMTおよびサイトカインに関与する遺伝子の同定とその発現・機能解析については、食道癌細胞株を用いた網羅的な遺伝子検索により候補遺伝子群の同定が行われた。検証実験の結果、その候補遺伝子群のうちEMTに関与していると示唆されている遺伝子(LASP1)に注目し、さらにRNAiによるknock downを行い、その遺伝子の機能解析を行った。この結果、腫瘍の増殖能との関連性は見いだされなかったが、遊走および転移能との関連性が認められた。(3)の研究項目に関連した食道癌患者のmiR-203および関連タンパク質の血清中濃度との関連性を検索についてもこの遺伝子(LASP1)について行い、逆相関性が得られた。さらに、悪性度についても臨床検体を用いて検証を行っている状態である。(1)については遺伝子ならびにタンパク質の発現を検証したがその関連性が十分に見いだされず目下再検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、上記の遺伝子以外のものに関しても同様に機能解析を進め、食道癌患者におけるmiR-203の血清中濃度と悪性度の関連性を探索するため、食道癌患者におけるmiR-203およびmiR-203の発現に関与したstemness・EMT・サイトカインのタンパク質の血清中濃度をさまざまな病期の食道癌患者より採取された血清からRNAおよびタンパク質を抽出し、RT-PCRやWestern blot法による発現量の評価を行う予定である。さらに、これらの遺伝子ならびにタンパク質の発現量と各臨床病理学的因子の関係を統計学的処理により予後予測マーカーとしての有用性を評価し、臨床応用への可能性を探索する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
食道癌患者におけるmiR-203およびmiR-203の発現に関与したstemness・EMT・サイトカインのタンパク質の血清中濃度をさまざまな病期の食道癌患者より採取された血清からRNAおよびタンパク質を抽出し、RT-PCRやWestern blot法等の分子生物学的手法にかかる費用に使用する予定である。
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