研究課題/領域番号 |
23591925
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10345879)
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研究分担者 |
森田 智視 横浜市立大学, 大学病院, 教授 (60362480)
吉川 貴己 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 消化器外科, 医長 (30336573)
伊藤 友一 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (80397463)
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キーワード | 胃全摘術後再建法 |
研究概要 |
本研究の内容は胃全摘後の再建法に関する多施設共同のランダム化比較試験であり、リンパ節郭清を伴う根治的な切除を行うことができ、かつ、胃全摘が必要であった症例を器械吻合(linear stapler)を用いたaboral pouch法か、標準治療群であるRoux-Y法に術中割り付けし、術後1年以内のoutcomeを比較するものである。予定通りに、過去2年間で研究参加施設から100例の症例登録が達成されているが、当科でその登録受付とランダム化割り付け業務を行った。現在は、登録後のCRFと膨大な数のQOL調査票を鋭意回収中である。QOLは郵送によりEORTC QLQ-C30を用いて、体組成は本研究費を含む予算で購入した統一した体組成を使用して、術前、術後1カ月、3カ月、6カ月、12カ月で測定するものである。従って、術後12カ月までのデータが出揃うにはまだ1年程度かかる見通しである。51例がRoux-Y法、49例がaboral pouch法に割りつけられ、その通りの再建法での手術が完了している。各群の背景因子(年齢、性別、臨床病期、BMIなど)に有意な差はなかったが、aboral pouch法で手術時間は平均して12分余分にかかり(303 mins vs. 291 mins)、出血量は90 mL (215 mL vs. 125 mL)多かった。術後在院死亡や再手術例はなかった。Roux-Y法で14例(縫合不全3例、膵液瘻3例、腹腔内膿瘍2例を含む)、aboral pouch法で12例(縫合不全1例、膵液瘻3例、腹腔内膿瘍3例を含む)に合併症を認めており、この頻度には有意差はなく、aboral pouchは安全に施行可能と考えられた。今後、QOLと体組成のデータを解析することにより、2つの術式が優劣が決まることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の100%の症例集積を完了し、この間、新規の術式の実施に伴う大きなトラブルは認めなかった。また、30%程度のデータの回収が終了している。今後、途中経過を参加施設に連絡する集会を経て、鋭意残されたデータの回収を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
鋭意残るデータの回収に努め、年度末になるとは思われるが、QOLと体組成のデータについて最終統計解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ワシントンで行われるAmerican College of Surgeonsの定期学術集会に合併症データの段階での演題を応募しており、その後日本胃癌学会、日本外科学会等での参加、発表を予定している。それ以降に投稿予定である。最終解析データについての学会発表および投稿も予定して行く。あらかじめ最終年度において国際学会の出張費用を計上しており、予定通りとなる。また、得られたデータを研究参加施設に報告する会議を開催予定である。
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