研究課題/領域番号 |
23591928
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒川 幸典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10470197)
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研究分担者 |
瀧口 修司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00301268)
加藤 菊也 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (60194809)
谷口 一也 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (70463289)
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キーワード | 胃癌 / ctDNA / BEAMing / 次世代シーケンサー |
研究概要 |
1.胃癌原発巣における変異の検出 原発巣の変異解析は平成24年度も継続して行った。サンガー法によるTP53のシーケンシングを42例に行い10例(24%)に変異を同定した。これらの変異はいずれもアミノ酸変化を伴うものであった。またctDNAをより汎用的なマーカーとするためには、大半の症例で何らかの遺伝子変異を同定する必要がある。このための試みとして、複数の癌関連遺伝子を一度にシーケンシングすることが可能な次世代シーケンサー用Cancer Panelを用いた原発巣解析を開始した。これまでに3例に解析を行い、全例でTP53以外にもctDNA検出に有用と考えられる遺伝子変異が同定された。 2.血漿中の変異遺伝子の検出 血漿中に存在する希少な変異アレル検出の方法として、次世代シーケンサーIon Torrentによる実験系の確立を行った。このプラットフォームは、BEAMingと同じ化学反応を使用しつつも実験手法が比較的簡便で、かつPCRで増幅した血漿中のDNAを変異点のみでなく全長にわたり解析する点で拡張性が高い。原発巣におけるTP53変異を同定した上記10例のうち6例に対して本手法を用いた術前血漿の解析を行い、3例でctDNAの検出が可能であった。この3例では治療経過を追跡し、切除後、再発後、化学療法後などの血液検体を解析した。結果としてctDNAの定量値は、病勢や治療効果と合致する推移を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、腫瘍サンプルの変異解析に関し、申請時に予定していた症例数にほぼ達している。変異が同定された割合が想定を下回ったため血漿の解析対象数が予定より少ないものの、解析を実施したサンプルにおいては高頻度にctDNAを検出できている。さらに、再発症例においては化学療法の効果などと比較可能な結果を得られている。検出閾値を調べるための正常検体を用いたコントロールアッセイもほぼ終了している。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍における変異検索に関して、APC、K-RAS、CDH1などの変異が殆ど検出されないため、結果としてTP53を中心に解析している。結果として原発巣での変異同定割合が想定より低く、血漿の解析対象数が制限されている。これに対し、今後は原発巣の解析に次世代シーケンサー用Cancer Panel(多数の癌関連遺伝子を一度に検索)を導入することにより、解決が可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験試薬の購入
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