研究課題/領域番号 |
23591931
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佃 和憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (20346430)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30397880)
浅野 博昭 岡山大学, 大学病院, 助教 (70534775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胃癌 |
研究概要 |
本研究の目的は、胃癌におけるマイクロRNA異常を解析しその病態を解明するとともに、新しい治療法の開発を目指すことである。これは、マイクロRNAと呼ばれるタンパクに翻訳されないRNAの異常が悪性腫瘍において複数発見されており、一部は癌抑制遺伝子として機能することが示されているからである。 初年度は、胃癌細胞株を用いてDNAのメチル化により発現が抑制されているマイクロRNAを同定する計画であった。現時点までに、胃癌の細胞株でマイクロRNA34ファミリーの発現低下があり事を示している。細胞株にマイクロRNA34を導入し、発現させると増殖抑制作用を示すことを確認した。マイクロRNA34ファミリーはa,b,cの3種あり、このうち34b,34cが強い効果を示すことも確認した。発現低下の原因としてDNAメチル化の関与を調べるために、脱メチル化剤で処理した細胞株を用いたのちのマイクロRNAの発現の回復を検討したが、予想通りメチル化が発現低下の原因として確認できた細胞株とメチル化以外の原因が考えられる細胞株の両方が存在した。これは、従来からの癌抑制遺伝子においても様々な変異により発現が抑制されることが知られており、予想の範囲ないである。 今後は、胃癌細胞株に遺伝子導入することによって細胞増殖抑制以外の癌遺伝子抑制機能があるか検討すること、および、原発腫瘍においてマイクロRNAが発現低下しているか検討する準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は細胞株を用いた癌抑制機能を示すマイクロRNAの同定を目標としたが、これが達成できた。ただし、現時点では少数の細胞株のみでの検討であるので、普遍的な事象であるかさらに対象となる細胞株を増やして検討する必要がある。これらは今までの手法を用いることで困難なくできる内容である。増殖能以外の検討は今後の検討かだいであるが、細胞株によってはコロニーアッセイや浸潤アッセイの難易があるため、結果が得られるような条件設定にやや手間取っている。 原発腫瘍での検討に関しては、標本の採取およびDNA抽出等は終了しているが、細胞株と同様の条件では、結果が十分得られず、あらためて条件設定をおこなっているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の計画通り、細胞株を用いたマイクロRNA34導入実験および原発腫瘍を用いたマイクロRNA34の検討を行う。まず癌抑制遺伝子としての機能を証明する必要があるため、細胞株を用いて遺伝子導入による増殖能の抑制、コロニー形成能の抑制、浸潤能の抑制の確認を行う。これらに続いてマウスを用いたin vivo実験を計画している。マイクロRNA34の標的遺伝子は細胞周期、抗アポトーシスに関する遺伝子群であり、これらとの関連も細胞株を用いて検討する。原発腫瘍での検討は、細胞株のみならず原発腫瘍でもマイクロRNA34の発現が低下していること、その原因がメチル化であることを示すためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も細胞株、遺伝子解析を中心とした研究をおこなうため、このための消耗品に用いる予定である。
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