研究課題/領域番号 |
23591934
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉野 茂文 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294633)
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研究分担者 |
吉村 清 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30346564)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胃癌 / 抗体医薬 / ADCC活性 / Fc受容体 / レンチナン |
研究概要 |
【研究の目的】抗体医薬は癌細胞に対する細胞増殖のシグナル伝達を阻害するために開発されたものであるが、その効果には、Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)も関与していることが明らかとなってきた。ADCCは癌細胞に結合した抗体がNK細胞や単球のFc受容体結合することによって惹起される免疫反応であり、今後は抗体治療においてADCC活性の増強が重要になってくる。免疫賦活剤レンチナン(LNT、β-1,3グルカン)にはADCC活性を増強する可能性があり、レンチナンのADCC活性増強相互作用につき検討する。ADCCは免疫細胞のFc受容体を介して惹起されるが、本研究ではFc受容体の遺伝子多型とADCC活性の関係についても明らかにする。【研究実施計画】平成23年度は基礎的検討を行う。LNTのADCC活性増強効果を検討し、Fc受容体の遺伝子多型と抗体治療の効果発現の関係を検討する。【研究実績の概要】KRASならびにBRAF変異大腸癌細胞株に対するcetuximabの直接効果を検討したが、抗腫瘍効果は認められなかった。健常ボランティアの末梢血単核球を用いてIL-2単独あるいはIL-2と固相化CD3抗体を用いてLAK細胞を誘導し、cetuximabを0.05-500μg/mlの濃度で添加しMTS assayでCetuximabのADCC活性増強効果を検討した。ADCC活性はcetuximabの濃度依存性に上昇した。in vitroでのレンチナン添加によるADCC活性増強効果は認められなかった。cetuximabで治療した51例の大腸癌患者においてFcγR IIIa(V158F)の遺伝子多型を検討したが、CR+PR:FF/FV/VV=15/3/1例、SD+PD:FF/FV/VV=19/11/2で、遺伝子多型と効果に関連を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画どおり、in vitroにおけるLNTのADCC活性増強効果を検討し、Fc受容体の遺伝子多型と抗体治療の効果発現の関係を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoにおけるLNTのADCC活性増強効果を検討する。胃癌患者にレンチナンを投与し、レンチナン開始前、1コース後(4週後)、2コース後(8週後)に末梢血を採取し、基礎的検討と同様の方法で末梢血から分離した単核球を用いてcetuximabあるいはtrastuzumab のADCC活性を測定する。Target cellはKRAS、BRAF変異大腸癌細胞株あるいはHER2高発現胃癌細胞株を用いて、cetuximabあるいはtrastuzumabを添加してMTT assayにより測定する。また、全例においてFcγIIIの遺伝子多型を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に購入を予定していた培養液、試薬、抗体等の購入が24年度に変更になったため、未使用額が生じた。平成24年度は23年度未使用額を含め、細胞株の購入、ADCC活性の測定に必要な培養液や試薬、抗体の購入、ディスポ製品の購入に使用する。また、FcγIIIの遺伝子多型の測定試薬の購入にも使用する。
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