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2012 年度 実施状況報告書

胃癌抗体療法におけるADCC活性増強の試み―Fc受容体遺伝子多型の検討も含めて―

研究課題

研究課題/領域番号 23591934
研究機関山口大学

研究代表者

吉野 茂文  山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294633)

研究分担者 吉村 清  山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30346564)
キーワード胃癌 / 抗体医薬 / ADCC活性 / Fc受容体 / レンチナン
研究概要

【研究の目的】抗体医薬は癌細胞に対する細胞増殖のシグナル伝達を阻害するために開発されたものであるが、その効果には、Antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)も関与していることが明らかとなってきた。ADCCは癌細胞に結合した抗体がNK細胞や単球のFc受容体結合することによって惹起される免疫反応であり、今後は抗体治療においてADCC活性の増強が重要になってくる。免疫賦活剤レンチナン(LNT、β-1,3グルカン)にはADCC活性を増強する可能性があり、LNTのADCC活性増強相互作用につき検討する。ADCCは免疫細胞のFc受容体を介して惹起されるが、本研究ではFc受容体の遺伝子多型とADCC活性の関係についても明らかにする。
【研究実施計画】LNTのADCC活性増強効果を検討し、Fc受容体の遺伝子多型と抗体治療の効果発現の関係を検討した。
【研究実績の概要】健常ボランティアの末梢血単核球を用いてIL-2単独あるいはIL-2と固相化CD3抗体を用いてLAK細胞を誘導し、cetuximabを0.05-500μg/mlの濃度で添加しMTS assayでCetuximabのADCC活性増強効果を検討した。ADCC活性はcetuximabの濃度依存性に上昇した。一方、in vitroでのLNT添加によるADCC活性増強効果を検討したがADCC活性の増強は認められなかった。また、in vivoにおけるLNTのADCC活性増強効果を検討したが、in vivo投与においてもADCC活性の増強は認められなかった。Cetuximabで治療した60例の大腸癌患者においてFcγR の遺伝子多型を検討したが、遺伝子多型と腫瘍縮小効果に関連を認めなかった。しかしFcγRIIIaにおいて、F carrierでPFSがVVと比して有意な延長を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vivoにおけるLNTのADCC活性増強効果を検討した。すなわち胃癌患者にレンチナンを投与し、レンチナン開始前、1コース後(4週後)、2コース後(8週後)に末梢血を採取し、基礎的検討と同様の方法で末梢血から分離した単核球を用いてcetuximabのADCC活性を測定した。またFcγレセプターの遺伝子多型と抗体医薬の効果の関係を検討した。

今後の研究の推進方策

胃癌細胞株を用いて大腸癌細胞株と同様の検討を行う。また胃癌切除標本においてHER2の染色性の検討を行い、日本人の胃癌におけるHER2の発現状況を検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、胃癌細胞株の購入、ADCC活性の測定に必要な培養液や試薬、抗体の購入、ディスポ製品の購入に使用する。また、FcγIIIの遺伝子多型の測定試薬の購入にも使用する。本年度の実験では、大腸癌細胞株を用いたADCC活性増強効果の検討を行ったため、胃癌細胞株購入予定費の41,351円が未使用額となった。この未使用額については平成25年の胃癌細胞株によるADCC活性の検討に用いる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 抗腫瘍免疫からみたCetuximabの効果発現機序の検討

    • 著者名/発表者名
      井上由佳、吉野茂文
    • 学会等名
      第33回癌免疫外科研究会
    • 発表場所
      横浜プリンスホテル(横浜)
  • [学会発表] 消化器癌治療における分子標的薬の位置づけ Cetuximabの有効性の評価と新たなバイオマーカーの探索

    • 著者名/発表者名
      井上由佳、吉野茂文
    • 学会等名
      第20回日本消化器関連学会週間
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸)

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公開日: 2014-07-24  

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