1.健常ボランティアの末梢血単核球を用いてIL-2によりLAK細胞を誘導し、trastuzumabを10μg/mlの濃度で添加しMTS assayでtrastuzumabのADCC活性増強効果を検討した。細胞株はHER2陽性の胃癌細胞株 MKN-7を用いた。MKN-7をターゲットとしてtrastuzumabの明らかなADCC活性が認められ、その活性はLAK細胞の細胞数依存性に上昇した。また、in vitroでのLNT添加によるADCC活性増強効果を検討したがADCC活性の増強は認められなかった。 2.胃癌切除標本におけるHER2陽性率を免疫組織化学的検査で検討した。また、胃癌組織のホルマリン固定時間によるHER2陽性率への影響も検討した。47例の胃癌組織で検討し、HER2染色強度スコアの2+、3+を陽性とすると、陽性率は13/47=27.6%であった。ホルマリン固定時間によるHER2陽性率への影響はほとんど見られなかった。 3.Cetuximabで治療した57例の大腸癌患者においてFcγR の遺伝子多型と治療効果の関係を検討した。FcγR IIa (H131R)、 FcγR IIIa (V158F)ともにそれぞれの遺伝子多型と腫瘍縮小効果に関連を認めなかった。しかしFcγR IIa (H131R)とFcγR IIIa (V158F)のハプロタイプの組み合わせ(ディプロタイプ)において、HV/HVの症例はHV/nonHV、nonHV/nonHVより抗腫瘍効果が不良であった。
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