研究課題/領域番号 |
23591941
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮成 信友 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90336230)
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研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20240905)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
岩槻 政晃 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50452777)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | BRAF / KRAS / PIK3CA / 遺伝子変異 / 食道癌 / pyrosequence |
研究概要 |
KRAS, BRAF, 及びPIK3CA遺伝子の変異は、様々な癌種において報告されており、臨床的にも極めて重要なジェネティックな変化であるが、食道扁平上皮癌におけるKRAS, BRAF、PIK3CA遺伝子変異と臨床病理学的因子、予後との関係を網羅的に解析した研究は皆無である。食道扁平上皮癌におけるそれらの遺伝子の変異をPyrosequencing technologyを用いて評価し、予後、抗癌剤感受性、疫学的因子などとの関係を網羅的に解析するのが、本研究の目的である。まず、当科で切除された食道扁平上皮癌のパラフィン包埋切片からMacro dissectionにより、腫瘍組織(癌細胞)を回収し、その組織からDNAを抽出した。次いで、PCRにてBRAF遺伝子を増幅させ、Pyrosequenceにて塩基配列のシークエンスを行った。また、BRAF遺伝子変異のポジティブコントロールとして、大腸癌細胞株であるHT29からDNAを抽出し、同様にPyrosequenceで解析した。その結果、パラフィン切片から抽出したDNAのBRAF遺伝子codon600の塩基配列が確認できた。また、HT29のDNAにてcodon600のSNP変異が確認できた。次いで、食道癌210例に対しBRAF遺伝子の解析を行った。その結果、codon600のSNP変異は食道癌210例中には認められなかった。以上より、食道癌においては、BRAF遺伝子変異は臨床的な意義を成さない可能性が示された。また、Pyrosequencing technologyは、遺伝子変異解析において多数のサンプルを迅速に測定することができ、臨床応用に非常に適したツールであることが示された。今回の結果はネガティブデータではあったが、 今後の遺伝子解析研究においては有効なデータと考えられるため、学会発表および論文として報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の遺伝子のうち、予定通り200例以上を解析したのはBRAF遺伝子のみであり、KRAS遺伝子やPIK3CA遺伝子に関してはまだ解析の途中である。しかしながら、サンプルとなるDNAはすでに抽出している状態であり、目標達成までは比較的早いものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、食道癌扁平上皮癌における、KRASおよびPIK3CA遺伝子の変異の検出を進めていく予定である。また、食道癌細胞株を用いたin vitroの研究も開始する予定であり、食道癌細胞株の複数の食道癌細胞株のKRAS, BRAF, PIK3CA変異の有無をpyrosequencing technologyを用いて評価する。そして、細胞浸潤能(invasion assay)、増殖能(proliferation assay)、抗アポトーシス作用(flow cytometory)、抗癌剤感受性試験などを行い、KRAS, BRAF, PIK3CA変異との関係を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後は多数のDNAサンプルを使って、種々の遺伝子についてPCRおよびPyrosequenceで大量に解析する予定であり、解析に必要な試薬および消耗品について研究費が使用される予定である。
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