研究課題/領域番号 |
23591949
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
笹子 三津留 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40143490)
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研究分担者 |
菊池 正二郎 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70381960)
松井 毅 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (10452442)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胃十二指腸外科学 |
研究概要 |
【研究目的】臨床検体を用いて胃がん細胞とがん関連線維芽細胞の相互作用を標的とした新しい胃がん腹膜転移治療法開発を目標とする。本研究では、1.胃がん組織におけるEMT関連分子群を詳細に解析して、治療標的となりうる受容体型分子群を同定すること2.それらの受容体型分子阻害による治療効果をin vitroとin vivo(マウスモデル)で評価することを目的としている。【研究実績】臨床検体の収集(漿膜露出胃がん(T4a)12症例・腹膜転移症例11例)はすでに終了している。EMT arrayは原発腫瘍(部位別)24検体・腹膜転移巣11検体に関して解析を終了した。胃がん組織のパラフィンブロック作成と免疫組織学的解析も終了した。予定よりも早く解析が進行しているために組織学的解析対象を114症例に拡大した。その結果、がん細胞とがん関連線維芽細胞の間に特徴的な所見が認められる場合に、胃がん治癒切除後の再発に有意差があることを確認した。本研究の中間報告として現在論文執筆中である。平成24年度に予定していた研究内容のうち、進行胃がん切除組織からのCAFsの初代培養細胞単離・低分化胃がん細胞株とCAFsの混合培養における胃がん細胞株の変化の解析、についてはすでに開始している。今後は予定の計画に従い、混合培養におけるEMT関連分子と薬剤投与による抗腫瘍効果の検討・マウス腹腔内転移モデルにおける抗腫瘍効果の検討などを進めて行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度の計画はすべて終了している。臨床検体収集:漿膜露出胃がん(T4a)は12例・腹膜転移症例は11例を収集済みである。EMT array(原発腫瘍は部位別に24検体・腹膜転移巣11検体)はすべての解析を終えた。胃がん組織のパラフィンブロック作成と免疫組織学的解析:対象症例に関してはすでに免疫組織染色による各分子の局在解析を終えた。現在は平成24年度以降の計画を予定より早く進めている。具体的には、進行胃がん切除組織からのCAFsの初代培養細胞単離・低分化胃がん細胞株とCAFsの混合培養における胃がん細胞株の変化の解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体より得られた解析結果と導かれた仮説の証明のために、in vitro/in vivoの実験系での証明・治療実験を開始する。(1)低分化胃がん細胞株とCAFsの混合培養におけるEMT関連分子と薬剤投与による抗腫瘍効果の検討:培地内にさまざまな濃度のチロシンキナーゼ阻害薬と抗がん剤を投与して抗腫瘍効果をCAFsに対する効果を検討する。MTT assayやApo-ONE Homogenous Caspase3/7 assay(Promega社)による細胞増殖・アポトーシスアッセイを行う。(2)マウス腹腔内転移モデルにおける抗腫瘍効果の検討:細胞培養によって確認した胃がん細胞-CAFs相互作用に関してNOG mouseの腹腔内共移植(胃がん細胞株とCAFs)あるいは胃がん細胞株のみの移植を行い、チロシンキナーゼ阻害薬とS-1などの抗がん剤の経口投与が有用かどうかを検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)in vitro assay:細胞培養実験に必要な消耗品、解析用試薬などを購入する予定であるが、顕微鏡や蛍光定量解析機器などは既存のものを使用する予定であるため、新規購入は予定していない。(2)in vivo assay:NOG mouseが入手困難であるため、NOD-SCID mouseに変更して実験を開始する。投与すべきチロシンキナーゼ阻害薬・抗がん剤などの購入とマウス購入・管理費用を見込んでいる。
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