研究課題
(1)線維芽細胞ライブラリー(30症例)作製:同一患者からの胃がん組織由来(CAFs)・非がん胃組織由来(NGFs)・正常小腸由来(NIFs)の初代培養細胞(2)がん細胞の増殖(細胞周期)・運動に関する線維芽細胞との相互作用解析:CAFsはがん細胞の増殖刺激・抑制のいずれにも作用するが個体差が大きい。共培養では線維芽細胞は足場として重要であった。(3)EMT array: CAFsとの共培養で、がん細胞におけるMMP2発現亢進とCD44の発現低下を認めた。これは基底膜の分解と接着能の低下を示唆していた。(4)CAFsとがん細胞の共培養タイムラプス撮影と動態解析:共培養でEMT様変化を起こすがん細胞は少数であり、運動能や増殖能の変化はEMTが主因ではなかった。(5)共培養における抗腫瘍薬投与:5-FUやCDDPなどの投与により線維芽細胞の存在はがん細胞の生存に資するが、線維芽細胞自身の薬剤感受性も個体差が大きかった。(6)プロテオーム解析とRNA microarray:3,4,5の結果を受けて線維芽細胞の網羅的解析を行い、腫瘍の悪性度変化因子としてEphrin receptor familyを同定した。Ephrin receptorはtype A(9種)・type B(5種)のisoformをもち、細胞間の双方向性情報伝達システムを構築することで、運動・増殖・細胞の形態変化などを複雑に制御している。(7)今後の研究につながる成果:EMT関連分子ではなくがん微小環境におけるEphrin receptorおよびその下流のチロシンキナーゼ阻害が微小環境における腹膜転移阻害薬開発に有望であるという結果を得た。また、胃がん患者線維芽細胞ライブラリーと本研究を通じて開発した定量的細胞動態解析ソフトは、今後の胃がん微小環境における薬剤作用の定量評価と治療法開発において有用であると思われる。
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British Journal of Cancer
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