研究課題/領域番号 |
23591950
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
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研究分担者 |
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20379845)
繁光 薫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50585007)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Midkine / 食道癌 / 分子標的治療 |
研究概要 |
Midkineは塩基性の低分子量タンパク質で、ヘパリン結合型サイトカインの一種である。正常組織におけるMidkineの発現は低値である一方、食道癌をはじめとする多くの癌種においてその発現の増強が認められ、また癌の進展に関与することが知られている。さらにMidkine遺伝子のプロモータ領域を使って、癌特異的に下流遺伝子を発現できることが報告されている。これまでに我々は、米国 Cincinnati Children’s Medical Center との共同研究によりMidkine プロモータを用いたCell base assayによるscreening法による16種のMidkine阻害剤の選定を終了している(MKI#1-#16)。食道癌全体での5年生存率は14%と胃癌、大腸癌を含めた消化器癌の中では極めて不良であり、術後化学療法及び放射線療法が試みられているが、生存率の向上に関する報告は未だcontroversialである。今回我々は、食道癌に対する新規治療法開発を目的とし、食道癌細胞および正常皮膚線維芽細胞株に対し、阻害剤投与を行い、その抗腫瘍効果を解析した。阻害剤MKI#3はMidkine発現のあるTTn、TE-8細胞株に対し、その発現を抑制するとともに増殖抑制効果および細胞死の誘導が認められ、Immunoblot解析よりcaspase-3活性の増強が認められた。一方で当該阻害剤は、Midkine発現の無いヒト皮膚線芽細胞株HFF-1に対し、その増殖抑制効果は低値であった。上記の検討により、新規Midkine阻害剤を用いることでMidkine発現の高い食道癌に対し抗腫瘍効果を誘導し、発現の無い正常細胞障害の少ない、安全性の高い食道癌補助療法の開発が可能となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の研究計画として、in vitroの研究を中心とし、食道癌細胞におけるMidkine阻害剤の抗腫瘍性の検討と 作用機序の解析を予定していたが、現在後者の検討を継続して行っており、解析終了までに暫くの期間を要する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度研究計画を終了後、食道癌に対し有効な抗腫瘍効果を誘導でき阻害剤を選定し、予定どおりin vivoでの制癌効果の解析ならびに正常組織障害の評価を行う。研究計画最終年度において、他種抗癌剤・分子標的薬剤と併用効果の検討をin vitro, in vivo双方で行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は24年度請求額とあわせ、現在取り組んでいる、Midkine阻害剤の作用機序解析に必要な細胞・分子生物試薬費また、当初の研究計画にあるin vivoでの抗腫瘍効果の解析、正常組織障害の評価に必要な細胞・分子生物試薬費、実験動物購入費を使用する。食道癌細胞におけるMidkine阻害剤作用機序の解析を予定していたが、研究計画の遅れから現在後者の検討を継続して行っており、次年度使用予定助成金が生じている。
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