研究課題
Midkineは塩基性の低分子量タンパク質で、ヘパリン結合型サイトカインの一種である。正常組織におけるMidkineの発現は低値である一方、食道癌をはじめとする多くの癌種においてその発現の増強が認められ、また癌の進展に関与することが知られている。我々は、米国 Cincinnati Children’s Medical Center との共同研究によりMidkine阻害剤:MKI#3の開発を行った。MKI#3はMidkine発現のある食道癌細胞および肺腺癌細胞に対し、細胞増殖抑制およびapoptosisを誘導した。また我々は、下流シグナルの解析より、当該阻害剤はPI3 kinase-Akt経路を抑制することで抗腫瘍効果を誘導することを明らかとした。H441肺腺癌細胞を用いた担癌マウスモデルにおいて、MKI#3のマウス体重に対し9mg/gの腹腔内投与は有意な腫瘍増殖抑制効果を誘導し、同時に体重減少、肝機能障害などの有害作用は認められなかった。治療後の腫瘍における免疫組織学的検討により、Midkine、CD31発現、さらにPI3 kinaseのリン酸化の抑制が in vivoにて観察された。MKI#3投与後、MEK-ERK経路の活性化が観察されたため、MKI#3とMEKinhibitor:PD0325901との併用効果を検討したところ、抗腫瘍効果の増強効果が確認された。
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PLoS One.
巻: 16 ページ: 8
10.1371/journal.pone.0071093