研究概要 |
本研究の目的は発光、蛍光等の光イメージング法を駆使して、胃がんの臨床上最重要課題である腹膜転移、リンパ節転移の早期診断,治療効果モニタリングのための体外および体内(腹腔鏡)イメージング法に関する基盤技術を確立することである。本年度は体外イメージングについて以下の2点を明らかにした。1)EGFR, HER2発現の異なる胃がん細胞株4株(GLM-1, MKN-28, MKN-45およびGCIY)にLuciferase遺伝子をコードする発現ベクターを導入し、遺伝子発現の強い安定細胞株を作成した。これらの細胞株をマウス腹腔内に接種し、Luciferase発光を陽性コントロールとして近赤外蛍光標識(Xenolight750)したCetuximab, Trastuzumab抗体による腹膜転移の蛍光イメージングをIvis lumina IIを用いて行った。その結果、EGFRを発現する上記の4種類の胃がん細胞株すべてについて、腹腔内接種により作成した腹膜転移の発光イメージに一致した蛍光イメージを取得することに成功した。2)同様に、HER2陽性胃がん細胞 GLM1-Luc の腹膜転移モデルを用いて近赤外蛍光標識抗体Xeno750-Trastuzumab による蛍光イメージングを行った。その結果、蛍光イメージと発光イメージが重なり合うこと、Xenolight750-Retuximab(CD20抗体)では転移巣の蛍光イメージは認められないことから、転移巣への集積の特異性が示された。さらにXenolight750の代わりに臨床で使用され、安全性の確立した近赤外蛍光色素(ICG)で標識した場合でもXenolight750とほぼ同様な感度を有することを明らかにした。
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