研究課題/領域番号 |
23591952
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
伊藤 友一 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (80397463)
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キーワード | 蛍光イメージング / 腹腔鏡 / ICG蛍光 / リンパ節高転移 / 腹膜転移 / 抗体プローブ |
研究概要 |
本研究は胃がんの腹膜転移、リンパ節転移の早期診断,治療効果モニタリングのための体外および体内(腹腔鏡)イメージング法に関する基盤技術を確立することである。本年度は体内イメージングについて以下の3点を明らかにした。 1)EGFR, HER2発現の異なる胃がん細胞株にLuciferase(GFP)遺伝子の発現ベクターを導入し、安定細胞株を作成した。これらの細胞株をマウス腹腔内に接種し、Luciferase発光(GFP蛍光)を陽性コントロールとして近赤外蛍光色素(ICG)標識したCetuximab, Trastuzumab抗体による腹膜転移の蛍光イメージングをIvisを用いて行った。その結果、EGFRを発現する胃がん細胞株すべてについて、腹腔内接種により作成した腹膜転移の発光イメージに一致したICG蛍光イメージを取得することに成功した。 2)一方、上記プローブを用いて体内(腹腔鏡)イメージングシステムを試作した。ICGに対して高感度なCCDカメラを接続した硬性鏡と、各種光源(ハロゲン,レーザー光, 波長800 nm)を接続した硬性鏡を試作し、暗視野でマウス腹膜転移巣を観察した。その結果、発光(GFP蛍光)イメージとICG蛍光イメージとが重なり合うことを確認した。 3)リンパ節転移の体内イメージングのために、リンパ節転移能を有するGCIY-GFP細胞の皮下移植腫瘍を摘出し,1 mm角に細切した後、ヌードマウスの胃奨膜に同所移植を行った。1ヶ月後に開腹し、頻度は低いながらも胃の所属リンパ節に転移を認めた。現在,この転移腫瘍を培養し、胃リンパ節高転移性株を作成中である。これをもとに今後、微小リンパ節転移の体内イメージングに取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃がんのLuciferase(GFP)導入細胞を用いて、ICGで標識したCetuximabおよびTrastuzumab抗体の腹膜転移の体外蛍光イメージングを行い、感度と特異性を確認した。胃リンパ節転移のイメージングに関してはモデルを作成中であることから、計画の達成率はほぼ80%と考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)現状では腹腔鏡蛍光メージの取得に数秒の時間を要するため、リアルタイムなイメージングができない。今後、最適な光源を検討し、リアルタイムイメージングを達成する。 2)胃がん、大腸がんのリンパ節転移の体内メージングの検討; 胃がんの所属リンパ節転移モデルを完成し、上記、蛍光腹腔鏡システムでリンパ節転移を特異的にイメージングが可能か否か検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越金が生じたのは、本年度計画した3つの研究項目の内、3)リンパ節転移体内イメージング用、の胃リンパ節高転移モデルの作成に時間がかかり,消耗品費のかかるイメージング実験を延期せざるをえなくなったため。
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