研究課題/領域番号 |
23591960
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荒木 俊光 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (70343217)
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研究分担者 |
楠 正人 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50192026)
吉山 繁幸 三重大学, 医学部附属病院, 診療従事者 (60444436)
大北 喜基 三重大学, 医学部, 助教 (20378342)
三木 誓雄 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (50242962)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / 異形成 / 一酸化窒素 / 酸化 |
研究概要 |
【研究の目的】一酸化窒素誘導合成酵素(iNOS)による過剰な一酸化窒素(NO)の産生は、炎症性発癌の大きな要因である。潰瘍性大腸炎(UC)では活動期の大腸粘膜で高いiNOS活性が認められ、さらに炎症性腸炎モデルでは、NOが誘導しG-T transformationの原因となる8-OHdGと8-NGの発現増加が示されている。UC直腸粘膜におけるiNOS、8-OHdG、8-NGの発現を確認し、臨床病理学的因子との関連、colitic cancer/dysplasia症例での発現意義を検討した。 【方法】UC患者141例を対象とした。colitic cancer9例とdysplasia9例の計18例をneoplasia群、それ以外の123例をcontrol群とした。切除標本直腸粘膜(neoplasia群では癌/dysplasiaから5cm以上離れた正常粘膜)に対しiNOS、8-OHdG、8-NGの免疫組織染色を行った。臨床病理学的因子は年齢(UC発症時・手術時)、性別、UC病態(罹患範囲・臨床経過・臨床的/組織学的重症度・病期)を調査した。 【成績】免疫染色の高発現はiNOS;66.0%、8-OHdG7;55.3%、8-NG;22.7%であった。iNOSと8-NGの発現強度には有意な関連が認められた。neoplasia群ではcontrol群と比較し8-NGの高発現群が有意に多く認められた。8-NG低/高発現群の間に病悩期間の有意な差は認められなかった。neoplasia群のリスク因子は病悩期間7年以上と8-NG高発現であり、両因子の組み合わせで顕著であった。 【結論】直腸粘膜における8-NG高発現は単独でもUCにおけるdysplasiaのマーカーとなる可能性があり、特に発症後7年以上経過し直腸粘膜に8-NG高発現が認められる場合には、注意深いサーベイランスが必要となることを報告した。
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