研究課題/領域番号 |
23591962
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹政 伊知朗 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50379252)
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研究分担者 |
水島 恒和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00527707)
池田 正孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80335356)
山本 浩文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30322184)
関本 貢嗣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10273658)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 遺伝子発現プロファイル / 予後予測 / 個別化医療 / 予後診断用臨床チップ / 癌の多様性 / 薬剤感受性 |
研究概要 |
癌の多様性を理解した合理的分類が行われ、臨床病理学的知見と並び用いられれば、個々の症例の予後予測は大幅に向上することが期待される。乳癌予後予測診断キットMammaPrintが2007年にFDAから承認を受け、切除癌試料の分子データに基づいた合理的分類の臨床応用が他の癌腫でも試みられるようなった。遺伝子発現プロファイル解析は、多数試料の巨大データを多変量解析し、転移の有無を確率的に求めようとするものであり、制御系遺伝子発現のネットワークを正確に解析する技術の開発と、臨床的に整合の取れたデータならびに試料の収集が必要不可欠である。我々は、大腸癌根治切除後の再発予測にフォーカスした研究を続け、これまでに300症例の大腸癌を解析し、75%以上の正診率に到達した。さらに個別化医療の実践をめざし、予後診断用臨床チップの開発を志向してきた。本開発は、大腸がんにおける遺伝子ネットワークを解析するとともに、予後予測と薬剤感受性に関わるパスウエイの変化を同定するとともに、臨床情報などの多次元的な解析を行うことにより、手術後のケアについてこれまでに無かった重要な予後情報と投薬情報を医師と患者に提供し、不適切な制癌剤投与の排除等患者のQOL向上と医療経費の軽減に貢献することを目的とする。本研究は、様々な次元のデータを統合的に解析することにより、論理的分子ネットワークの理解と、それに基づく転移予測、薬剤感受性予測を目指した提案である。この成果をデータベース化することにより、新しい抗癌剤開発や転移・再発そのもののメカニズム解明のための情報を与えてくれると思われる。正確な癌の予後判別、薬剤効果判定は人類に大きく貢献できるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
300症例の大腸癌解析のデータを基に臨床診断型チップの開発をすすめているが、データの再現性が全遺伝子型チップと比べやや低下(正診率60-65%)しており、原因追究と改善版を作成している。大阪大学を中心とした臨床研究コンソーシアムの運営は軌道にのり、これまでに2000例近くの均一化された品質のサンプル収集が完了している。
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今後の研究の推進方策 |
全遺伝子版から多変量解析で抽出されてきた臨床診断型版搭載遺伝子のbrush upとチップ基盤のS/N改善による信頼性向上に努める。またDNAチップデータと超高速リアルタイムPCRデータの比較検討より、転移・再発の関わる遺伝子群のさらなる絞り込みと、パスウエイの変形と薬剤感受性ターゲットの同定を行う。同時に大阪大学を中心とした臨床研究コンソーシアムにより収集された2000例近くのサンプルの薬剤投与の有無・効果を含めた臨床病理学的情報の収集と、継続的な予後調査を行なう。最終的に大腸がん組織50症例以上について、予後予測判定及び薬剤効果判定のプロスペクティブスタディを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)大腸がん組織を用いた遺伝子ネットワーク解析:DNAチップデータと超高速リアルタイムPCRデータの比較検討。2)臨床データベースの構築と情報公開機能を統合した研究マネジメントシステムの開発3)多次元データを用いた多変量解析による薬剤効果判定パスウエイの同定4)大腸がん組織50症例を用いたプロスペクティブスタディ5)総合診断による個別化医療システムの構築
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