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2012 年度 実施状況報告書

大腸がんの予後・治療応答性予測診断システムの臨床応用と実用化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591962
研究機関大阪大学

研究代表者

竹政 伊知朗  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50379252)

研究分担者 水島 恒和  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00527707)
池田 正孝  独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (80335356)
山本 浩文  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322184)
関本 貢嗣  独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10273658)
キーワード大腸がん / 予後・治療応答性 / 予測診断 / パスウェイ / 臨床応用
研究概要

癌の多様性を理解した合理的分類が行われ、臨床病理学的知見と並び用いられれば、個々の症例の予後予測は大幅に向上することが期待される。乳癌予後予測診断キットMammaPrintが2007年にFDAから承認を受け、切除癌試料の分子データに基づいた合理的分類の臨床応用が他の癌腫でも試みられるようなった。遺伝子発現プロファイル解析は、多数試料の巨大データを多変量解析し、転移の有無を確率的に求めようとするものであり、制御系遺伝子発現のネットワークを正確に解析する技術の開発と、臨床的に整合の取れたデータならびに試料の収集が必要不可欠である。
我々は、大腸癌根治切除後の再発予測にフォーカスし、ヒト全遺伝子チップを用いた400症例の大腸癌解析で78%の正診率を達成した。さらに個別化医療の実践をめざし、予後診断用臨床チップを開発した。超高速リアルタイムPCRデータを比較し、転移・再発の関わる遺伝子群のbrush upとチップ基盤のS/N比を改善と、大阪大学を中心とした臨床研究コンソーシアムにより収集された2000例近くのサンプルの臨床病理学的情報の予後調査により、予後診断用臨床チップの再現性を向上させ、StageII大腸癌の再発において75%の正診率を達成した。大腸癌における網羅的遺伝子ネットワークと臨床病理情報の多次元的な解析を行うことにより、手術後のケアについてこれまでに無かった重要な予後情報や制癌剤など投薬情報が医師と患者に提供されると考えられる。
本研究は、論理的分子ネットワークの理解と、それに基づく転移予測、薬剤投与制御を目指した提案である。この成果をデータベース化することにより、新しい抗癌剤開発や転移・再発そのもののメカニズム解明のための情報を与えてくれると思われる。正確な癌の予後判別、薬剤効果判定は人類に大きく貢献できるものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト全遺伝子チップを用いた400症例の大腸癌解析で78%の正診率を達成し、今後の焦点は個別化医療の実践をめざし、より安価で信頼性が高い臨床方チップの開発段階に移行してきた。基盤の品質向上やオリゴprimerの合成過程の見直すことで、wet過程でのS/N比の改善により、現段階での臨床型チップでStageII大腸癌の再発において75%の正診率を達成した。しかし検証サンプル数が十分とはいえず。データのvalidationとしてはまだ不十分である。

今後の研究の推進方策

今後はより多くの症例での検証が必要となる。StageII大腸癌は15%程度の再発率であるため、十分な再発症例数での検討となると大阪大学を中心とした臨床研究コンソーシアムにより収集された2000例近くのサンプルの臨床病理学的情報の予後調査を実行する必要がある。
これまでの研究により、予後予測診断チップに搭載されている遺伝数は約1500種類であり、さらにコントロールを含めたマーカー遺伝子数を絞り込む必要がある。 具体的には、DNAチップデータと超高速リアルタイムPCRデータの比較検討よりマーカーの絞込みを行い、転移・再発の関わる遺伝子群のbrush upする。同時にTaqman probeを利用したTLDA遺伝子発現定量解析を多数症例で行い、brush upの遺伝子の相同性と信頼性検証を予定している。また、マーカー遺伝子セットを既存パスウエイ上にマッピングを行い、パスウエイ間の相互作用についてネットワーク解析を行う。
これら、大腸癌における網羅的遺伝子ネットワークと臨床病理情報の多次元的な解析を行うことにより、手術後のケアについてこれまでに無かった重要な予後情報や制癌剤など投薬情報が医師と患者に提供されると考えられる。

次年度の研究費の使用計画

現段階の臨床型チップでStageII大腸癌の再発のvalidationとしてはまだ不十分であるため、継続してサンプル解析を行う必要がある。
また、プロスペクティブスタディはこれまでのレトロスペクティブスタディと異なり、試料の 取り扱い、搬送、処理、情報返戻などに新しいシステム構築を必要と思われる。これまで 以上の医療情報充実を図ると共に、予後予測、薬剤効果予測システムそのものの改良、実験手法のストリームライン化によるスピード向上を行い、新型プラットフォームによる総合的な標準手順書作成を行う。

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公開日: 2014-07-24  

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