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2012 年度 実施状況報告書

HMGB1による癌化学療法の免疫学的効果予測

研究課題

研究課題/領域番号 23591963
研究機関山口大学

研究代表者

鈴木 伸明  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50526910)

研究分担者 吉村 清  山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30346564)
キーワードHMGB1 / バイオマーカー / NKG2D / NKG2DL / B7-H3 / Toll like receptor / 化学療法 / 免疫療法
研究概要

High Mobility Group Box 1(以下HMGB1)は核蛋白として自己免疫疾患、急性虚血再灌流障害、心血管疾患やがんにおいて多くの臨床的役割を担うと報告されており、またアポトーシスに陥った細胞からHMGB1が放出され、効果的に抗原提示し細胞障害性T細胞を活性化するといった報告も散見する。近年、化学療法によりToll様受容体(TLR)を通じ、免疫システムを活性化させる際にHigh Mobility Group Box 1(HMGB1)が放出されるというデータをフランスのZitvogelらがマウスで示した。本研究の目的は、切除組織におけるHMGB1の免疫染色を行い、特定の化学療法における抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーとして、また再発・予後との関連も明らかにすることである。平成23年度は切除組織における癌部・非癌部でのHMGB1の発現の有無・強度に関し免疫組織化学染色にて確認した。平成24年度も引き続き胃癌90症例、大腸癌30症例、膵癌10症例等で染色を行い、胃癌においては、癌部のHMGB1の発現の有無が予後との相関があり、多変量解析でも独立した予後予測因子となりえることを確認した。また、それと並行してNKG2D, NKG2DL, B7-H3なども染色しており、複合的な染色強度の発現の組み合わせで、prognostic markerとならないか検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は胃癌90症例、大腸癌30症例、膵癌10症例等で染色を行い、胃癌においては、癌部のHMGB1の発現の有無が予後との相関があり、多変量解析でも独立した予後予測因子となりえることを確認した。また、それと並行してNKG2D, NKG2DL, B7-H3なども染色しており、複合的な染色強度の発現の組み合わせで、prognostic markerとならないか検討中である。具体的には胃癌患者における単核球のNKG2D発現が良好な予後に関連があった。そのリガンドの一つであるULBP1については、NKG2Dと共に発現しているものが最も予後が良い傾向にあった。一般的には、ULBP1の発現と臨床データとの関連、あるいはそのメカニズムについては未だに不明な点が多いが今回の結果から、ULBP1/NKG2D間は抗腫瘍効果においてPositiveな関係であることが示唆された。また乳癌腫瘍におけるB7-H3発現とそのTILにおけるFoxp3発現は不良な予後を予測しうる有用なマーカーと考えられた。今回の検討ではB7-H3とFoxp3発現に相関関係は認められなかったが、B7-H3ならびにTregの高発現群の予後は不良であった。両者は直接の関係を認めないが、いずれも腫瘍の免疫逃避機構に関与していると考えられた。

今後の研究の推進方策

今後は、引き続きHMGB1, NKG2D, NKG2DL, B7-H3等を染色し、複合的な染色強度の発現の組み合わせで、prognostic markerとなるか検討を行うとともに、その結果について論文にまとめる予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度は引き続き、フローサイトメトリーや免疫染色用の抗体等を購入するとともに、論文作成にあたって英文校正等に使用予定である。
本年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更により、3,000円の未使用額が生じた。この未使用額については、次年度の免疫染色用の実験試薬の購入に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 胃癌に対するHigh Mobility Group Box 1の新規免疫学的バイオマーカー2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸明、吉村 清
    • 学会等名
      第85回胃癌学会総会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      20130227-20130301
  • [学会発表] Expressions of NKG2D ligand/NKG2D are related to their clinicopathological outcome in patients with gastric cancer2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Yoshimura, Nobuaki Suauki
    • 学会等名
      第85回胃癌学会総会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪)
    • 年月日
      20130227-20130301

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公開日: 2014-07-24  

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