研究課題/領域番号 |
23591965
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
辛島 龍一 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60594471)
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研究分担者 |
渡邊 雅之 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 講師 (80254639)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (20452899)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
岩槻 政晃 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50452777)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 血中遊離癌細胞 / TRC / RNAアレイ / 化学療法 |
研究概要 |
TRC法とCellSearch systemのCTCs検出感度を比較するために、2008年11月から7か月間で切除不能進行再発大腸癌患者から得た全血42検体を対象に検討を行った。また、化学療法前のCTCs検出結果が予後と相関するかどうか検討するために、2008年6月から12か月間までの間で1次治療または2次治療の化学療法を導入した切除不能進行再発大腸癌患者25症例を対象とした。TRC法でTRC positive(=CTC positive)となったのは42検体中27検体、CellSearch systemを用いたCTCs検出でも同じく27検体でCTCsが検出され、42検体での癌細胞の平均検出個数は9.0±23.4個であった。CellSrarch systemで癌細胞が検出されなかった検体ではTRC法で陽性となる検体はなかった。CellSearch systemで癌細胞が1個以上検出されたときをCTC positiveとした場合、CTC positiveとなったのは27検体、TRC法でCTC positiveとなった症例は、全例がCellSearch systemでもCTC positiveであった。転移性大腸癌患者におけるCellSearch systemを用いたCTC検出の検討では、CTC 3個以上の検出と3個未満の検出の2群に分けた場合、CTC 3個以上の群が有意に予後不良であることが報告されている。本研究において、CTC 3個以上が検出した場合をCTC positiveとした場合、CTC positiveとなったのは18検体であり、TRC 法の結果と有意(p<0.01)な相関を認めた。以上より、進行大腸癌患者の血液サンプルにおいてTRC法によるCTCs検出の感度が、CellSearch systemによるCTCs検出感度と同等であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進行大腸癌患者についてTRCを用いたCTC検出方法がより手軽で安価なCTC検出方法として臨床へ導入可能であることを示すのは本研究における目的の一つであり、上に示した実績からこの目的はほぼ達成されたものと考える。一方、CTC検出のbiomarkerとしての意義を検討するにはさらなる症例集積と予後の解析が必要であり、RNAアレイ解析や既存のモダリティーとの併用法の検討など、まだ検討すべき項目は多く残されている。
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今後の研究の推進方策 |
・症例の予後情報の集積・精査を行い、TRC法を用いたCTC検出が予後予測因子となりうるかを検討する。・新たなBiomarkerとしての臨床的意義を他のモダリティーとの併用も含め検討する。・RNAアレイを行い、CTCの分子生物学的特徴を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例の予後情報の集積・精査およびTRC法を用いたCTC検出が予後予測因子となりうるかの検討、RNAアレイを行いCTCの分子生物学的特徴を検討するにあたり、実験を進めていく上で実験試薬等による研究費予算が必要不可欠である。
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