研究課題/領域番号 |
23591965
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
辛島 龍一 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60594471)
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研究分担者 |
渡邊 雅之 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (80254639)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (20452899)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
岩槻 政晃 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50452777)
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キーワード | TRC / CTC / Cell Search System / 大腸癌 / 化学療法 |
研究概要 |
我々は、Transcription-Reverse Transcription Concerted Method(TRC)による血中遊離癌細胞(CTC)の検出力が市販されるCell Search systemと比較して遜色なく、また費用がCell Search systemよりも安価であることを報告した。CTCが予後や治療効果の予測因子であることはさまざまな癌腫で報告されておりその臨床上の意義は大きい。本研究はTRCを用いたCTC検出の臨床(大腸癌化学療法患者)への効果的な応用法を明らかにすることを目的としている。我々の施設で治療を受けた大腸癌患者のうち、化学療法を開始したのちに根治的手術を受けていない切除不能進行再発大腸癌患者25例を対象として、化学療法導入前のCTCs検出結果が予後と相関するかどうかについて、全生存の生存曲線を描き検討した。 その結果、化学療法導入前にCTC positive(TRC反応陽性)であったのは9名で、CTC positiveは有意に予後不良であった(p=0.0317)。また、Cell Seaerch systemのCTC検出結果と全生存との関連も同時に解析したところ、Cohenらの報告に従い3個以上のCTCの検出をCTC positiveとした場合、CTC positiveと診断されたのは14名であり、その予後は有意に不良であった(p=0.0494)。この結果から、TRCによるCTC検出は切除不能進行再発大腸癌患者の予後予測に有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度はRNAアレイをおこない、その結果と臨床情報を対比させ検討することで、CTCの分子生物学的特性ならびに臨床病理学的意義を明らかにすること、あわせて、CTCに特異的な新たな分子を同定することでより鋭敏で有用なマーカーを検索することまで計画していたが、これらの項目についてはいまだ検討中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
CTCについて検討した進行大腸癌患者の予後情報を引き続き集積し、詳細な解析を行う。RNAアレイを用いたCTCの分子生物学的解析については、その手法や検討項目などについて今後も研究グループ内で議論を重ね、意義のある研究につなげていく。また、分子生物学的解析の結果同定される新たな分子について、CTC検出の標的としての有用性の検証を続け、より良い標的の確立を目指す。分子生物学的に同定されるCTCに特徴的な分子について、未知のものであるならばその特性についてin vitroやさらにはin vivoでの機能解析につなげていく。 研究の結果は、整い次第英文雑誌等に投稿し世界に発信していくとともに、日本国内では特に外科関連、消化器病関連の学会に報告していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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