研究課題/領域番号 |
23591966
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮本 裕士 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (80551259)
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研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20240905)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (20452899)
馬場 祥史 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20599708)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | オートファジー / p53 / 大腸癌 / 抗癌剤感受性 / 肝転移 |
研究概要 |
研究の主である、大腸癌における抗癌剤感受性とp53 statusおよびオートファジーの活性程度との関連を明らかにし、オートファジー活性化の有無が大腸癌化学療法の治療効果に対する新規バイオマーカーとして機能するかを検討した。まず、化学療法後の大腸癌肝転移切除サンプルを用いて、オートファジー関連蛋白であるATG5、Beclin-1、LC3の免疫組織染色を行った。免疫染色の結果をそれぞれの分子でpositive群、negative群に群わけした。ある分子においてはpositive群ではnegative群に比較し奏効率および病理組織学的判定が低いことが判明した。また、各症例のp53statusをシークエンスにて確認し、奏効率との関連を調査中である。大腸癌細胞株HCT116、LS174TおよびLovoにおいて、レトロウイルスを用いてp53-shRNAベクター及びコントロールベクターを導入し、p53knockdown細胞とcontrol細胞を構築した。上記大腸癌細胞株をオキサリプラチン、イリノテカン、5-FUの濃度を様々に振り分け、オートファジーが最も誘導される濃度を決定した。3薬剤共にオートファジーの誘導がLC3のWestern Blottingで確認された。現在はオートファゴゾーム形成に必須な関連遺伝子であるATG5、ATG7、Beclin-1、LC3に対するsiRNAを構築し、そのknockdown効果を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
invitro、臨床検体を使用した研究ともに研究に必要な予備実験は終了しており、実験系がうまくいくことは確認している。invitroにおいては免疫染色のうち、解析が終了したのが20例ほどであるため、やや遅れている。また臨床病理学的因子との関係性はデータベースの整理が遅れており、解析には至っていない。invivo実験においては、おおむね予定通りに進行しているが、研究成果を論文投稿するにはまだ実験が必要なため、(3)と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として、in vitro、臨床検体を使用した研究の両方を同時並行しながら研究を遂行していく。臨床検体を使用した研究では免疫染色をさらに多数例で行った後に解析を進める。また臨床病理学的因子との解析のためのデータベース整理が早急な課題である。予後検討については症例数を確実に増やし、詳細な検討を行いたい。invitro実験では大腸癌細胞株への抗癌剤添加実験をさらに行い、オートファジーの継時的な動向を解析する。さらに、オートファジー関連分子knockdown細胞でのオートファジーの動向を解析し、各分子の関連性とその意義について評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の使用予定研究費は今後の研究方針に沿って行う。臨床検体を使用した研究では各種抗体費用、免疫染色の消耗品に研究費を充てる。invitro実験では細胞培養、DNA・RNA抽出、cDNA作成、PCR、western blotting、シークエンスの消耗品に使用する。また、抗癌剤の使用にも研究費を充てる。その他、施設使用・管理費、学会発表における渡航費も必要となる。
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