研究概要 |
EV法による免疫後のCTL反応を詳細に検討するために、モデル抗原としてOVA蛋白由来のKb拘束性エピトープであるSIINFEKLをコードする遺云子を合成した後、これを組み込んだプラスミドを作製した。プラスミドは哺乳動物由来の細胞で発現し得るpcDNA3(Invitrogen社)を用いた。ワクチンは以下の方法で行った。まず、プラスミド200μgを全身麻酔下のマウス(C57BL/6)両大腿四頭筋内に半分づつ注射する。その後同注射部位にin vivoエレクトロポレーションを行う(BTX社ECM830)。2-Needle Array Elect rodeを注射部位をはさんで挿入して、100V,50msec,6pulsesの設定で通電を行う(一度re-poleを行い計2回通電)。免疫回数を1回と2回で比較する。免疫後7日、14日、21日の3タイムポイントでマウスを儀死させ、所属リンパ節と脾臓を採取する。CD8+T細胞中のCTL細胞数をKb/SIINFEKLテトラマー(PE conjugated)(Coulter社製)で検出する。テトラマーによる染色は同時に抗ClassII/FITC抗体、抗CD8/PerCP抗体を用いて行い、FACSCaliburで解析する。テトラマーのみの評価では実際の殺細胞効果の検討を行うことができないので、各タイムポイントにおける機能面の解析をin vivo cytotoxic assay法で行う。同アッセイの方法は、同系マウス(CD90.1発現,BL6PLマウス)から採取した同種脾細胞を2群にわけ、一方に高濃度(50mM)CFSE染色を、他方に低濃度(5mM)CFSE染色を施した後、高濃度染色群のみペプチドパルスを行っておく。そして2群の細胞数を同数づつ混ぜ合わせたものを尾静脈から経静脈投与し、48時間後に回収した脾臓から、細胞浮游液を調整して、その中に存在する両群の細胞数の比を取って、殺細胞効果を検討する。免疫されたマウスでは誘導されるCTLによって、高濃度群(ペプチドパルス群)の細胞が殺傷される事により、相対的に低濃度群の細胞が増加する。結果としては、モデル抗原であるOVA特異的な免疫反応を確認する事ができた。In vivo cytotoxic assayではコントロール群と比較して優位な殺細胞効果を確認する事ができた。次のステップとしては以下の実験を順次行って行く予定である。OVAに由来するMHCクラスII拘束性ペプチドであるOVA_<323-339>(ISQAVHAAHHAEINEAGR)をコードするプラスミドを同様に作製してマウスを免疫し、ヘルパーT細胞の活性を測定する。測定には免疫マウスのCD4T細胞をエフェクター細胞として、OVAタンパクもしくはOVA32_<323-339>ペプチドでパルスした脾細胞をターゲット細胞とした細胞増殖活性を測定して評価する。
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