研究課題/領域番号 |
23591969
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
三澤 裕美 奈良県立医科大学, 医学部, 教務職員 (50281275)
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研究分担者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 特任教授 (00033358)
松吉 ひろ子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10448772)
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キーワード | 胚性幹細胞 / ES腸管 / セロトニン4受容体 / 腸壁内神経 |
研究概要 |
申請者らは、マウス胚性幹(ES)細胞から蠕動様の運動を発生する腸管(ES腸管)を安定してつくることができる。本研究では、このES腸管の作成過程で様々な神経の分化誘導因子を作用させて、神経の選択的な分化誘導法を確立し、完全な神経系を備えた大きなES腸管や特異的神経のみを備えたES腸管をつくり、神経欠損による腸疾患の病態解明や消化管の発生・再生機構の解明につなげ、治療への手がかりを探る事を目的とした。 細胞の未分化維持のための培養は、培養液に分化抑制因子として白血病抑制因子(LIF)を添加して培養した。胚様体ボールを、LIF無添加培養液を用いて浮遊培養して作製した。6-7日後に胚様体ボールを回収後、培養皿で付着培養した。培養14-21日間で動き始めるES腸管を作製できた。懸垂滴中にクエン酸モサプリド(セロトニン4受容体刺激薬)を加えるとES腸管に腸壁内神経系を特異的にしかも安定的に分化誘導させることができた。この腸管に蠕動様の運動を発生させるのに必要なペースメーカ細胞(ICC)は分化誘導因子なしで安定的に分化誘導させることができた。これらの成果を基にして、様々な実験条件を試みた。 まず手始めに譲り受けたペプチドゲル(特願2009-54983)による3次元培養を行い、その際に各種神経分化誘導因子を添加することによって、さらに完成度の高い特異的神経を備えたES腸管の作製方法の確立を試みたが、これまでの方法が優れていたのでこれを駆使してES腸管に腸壁内神経系を特異的にしかも安定的に分化誘導させる試みを推進した。 最終年度では、クエン酸モサプリドの腸壁内神経の特異的分化作用のメカニズムを解明するために、脳由来栄養因子の関与の可能性を検討するため、脳由来栄養因子の特異的阻害剤(ANA-12)の作用を検討したところ全く効かなかったのでセロトニン4受容体に対する直接作用と結論した。
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