研究概要 |
研究目的は癌の血清診断であり平成24年度は今までの結果をもとに症例を増やすこと、他の癌腫に応用することを計画した。研究内容は 当院にて手術施行した242例の大腸癌患者の術前血清と25名の健常者ボランティアの血清を用いてそれぞれの検体からDNAを抽出し、バイサルファイト処理した後、Quantitative methylation-specific PCR(qMSP)にて定量し、メチル化VIMの血清中における存在の有無を調べた。結果は1. メチル化VIMの感度は32.2%(78/242)、特異度は100%(25/25)であった。感度はCEA(33.1%)とほぼ同程度でCA19-9(15.5%)より高く、早期段階ではメチル化VIMが有意に高かった(Stage0:p=0.033,StageI:p=0.00012,StageII:p=0.023)。2. リンパ節転移と有意な相関がみられた(p=0.048)。3. VIMのStage別の感度はStage0:57.1%, StageI:30.6%, StageII:28.2%, StageIII:35.1%, StageIV:32.7%, 全Stage:32.6%であった。VIMにCEAとCA19-9を加えたcombination assayでは感度がStage0:57.1%, StageI:36.1%, StageII:45.2%, StageIII:55.4%, StageIV:85.7%, 全Stage:55.6%まで上昇した。大腸癌患者の血清中からメチル化VIMの抽出は可能であり、スクリーニングとしての癌の血清診断のための標的遺伝子となる期待が持たれた。
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