研究実績の概要 |
研究期間を通じて様々な癌種における遺伝子マーカーの検索を行い発表してきた。研究目的である血清診断のために癌組織における遺伝子マーカーの研究をした(胃癌、大腸癌、肝細胞がんにおけるMACC1遺伝子、大腸癌、胃癌におけるメチル化ビメンチンなどそれぞれ論文報告した)。それらの結果よりメチル化ビメンチンの血清診断の有用性が確認でき(大腸癌腫瘍組織内での発現を確認し、癌組織中と血清中での遺伝子の相関を確認しそれぞれ論文報告した)、最終年度に研究成果を『大腸癌のメチル化ビメンチンによる血清診断』として論文発表した。ビメンチンは中間径フィラメントのサブユニット蛋白質で非上皮性腫瘍のマーカーとして日常診療で使われている。2005年Wei-Dong Chen,らが大腸癌の腫瘍組織中のビメンチン遺伝子がメチル化していることを発見し診断への有用性を報告した。今回の我々の検討では242人の大腸癌患者の血清診断を行った(健常人ボランティア25人)。血清中のメチル化ビメンチンはリンパ節転移の有無と相関し悪性度の指標になる可能性が示唆された。またCEA,CA19-9,メチル化ビメンチンのcombinationでの診断感度は stage 0: 57.1%, I: 36.1%, II: 45.2%, III: 55.4%,stageIV: 85.7% であり大腸癌の血清診断に有用である可能性が示唆された。今後はメチル化ビメンチンのカットオフ値に関して(今回は任意に設定したが健常ボランティアの人数が集まればROC解析を予定していた)、他の癌種への応用が課題と考えている。
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