研究概要 |
切除不能大腸癌に対するFOLFOX療法の奏功率は約50%とされ、臨床病理学的因子による治療前の抗癌剤治療効果予測は依然として困難である。一方で抗癌剤感受性予測については機械学習アルゴリズムが発現プロファイルに応用され感受性予測が試みられ、決定木による予後予測遺伝子の選択をBootstrap Aggregation (Bagging)法により1-100万回シュミレーションを繰り返すランダムフォレスト法は、予測因子が症例数を大幅に上回る発現プロファイルの判定を行う目的で開発された解析法である。今回我々はmFOLFOX6により治療された切除不能大腸癌83例(4コース終了後CTにより判定:有効42例、無効41例、奏効率50.6%)を54例のトレーニングセットと29例のテストセットに分けて遺伝子発現プロファイリングを行い、ランダムフォレストにより薬剤感受性遺伝子セットの選定、及びcross validationによる各症例の効果予測判定を行った。トレーニングセットで構築した14個の予測遺伝子(SMURF2, MBTD1, AP3M2, RNF141, NPEPPS, BPTF, FAM73A,APPBP2,AMZ2P1,SRGAP1,NMT1,CSPP1,EIF1,CEP290)を用いた予測モデルでは感度91.3%、特異度95.6%で効果予測が可能であった。さらにこの予測モデルを用いたテストセットでは感度80.0%、特異度92.8%であった。すなわち治療による奏功率が50.6%であったFOLFOXによる治療効果を発現プロファイルに対するランダムフォレストを用いた解析により、より高い確率で予測することが可能であり、有効な治療法を選択する個別化医療が可能であると考えられた。
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