SF3B1阻害剤FR901464(FR)を用い、SF3B1阻害とSF3B1遺伝子変異の意義を検討した。FRは癌細胞に対しin vitroで強い細胞傷害性を示し、コドン1074の変異が薬剤耐性と相関した。この変異は大腸癌患者245人で認められず、全エクソンでもDLD1細胞でエクソン10に遺伝子変異を認めたのみであった。FRは毒性が強く、動物実験で抗腫瘍効果が得られなかったがFR耐性細胞は親細胞に比べ腫瘍増殖が抑制されていた。マイクロアレイ解析でFRは細胞周期、Fanconi貧血、相同組み換え、塩基除去修復などのパスウェイを抑制していた。これらからSF3B1は大腸癌の有望な分子標的と考えられた。
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