研究課題
原発性肝癌の約5%を占める肝内胆管癌に対しては、外科的切除のみが根治を期待できる治療法であるが、治療成績は決して満足できるものではない。多施設から報告されているように、リンパ節転移は強力な予後不良因子であり、取扱い規約では、いかなる腫瘍条件であっても転移リンパ節が一個のみでStage IVbと規程されている。このように、リンパ節転移陽性例ではリンパ節郭清を行ったとしても予後改善効果がなく、かつリンパ節転移陰性例では郭清しなくとも肉眼的癌遺残は起こらないため、肝内胆管癌に対する外科治療においては、リンパ節郭清は意義がないとする意見もある。よって、肝内胆管癌におけるリンパ節転移の機序を詳細に検討することは、肝内胆管癌の新たな治療戦略確立のための礎を見いだすためには必須であると考え、今回の研究を立案した。2003年から2013年までの切除24症例の標本を用いて、リンパ節転移陰性(N0)症例と陽性(N1)症例の腫瘍特性を比較検討した。肝内転移はN0症例13例中3例(23.1%)に、N1症例11例中7例(63.6%)に認め、N1症例に多い傾向であったが、統計学的に有意差は認めなかった。腫瘍径(N0症例4.9cm(1.6-15.5cm)、N1症例4.5cm(0.7-16cm))、腫瘍分化度、腫瘍マーカーでも有意差を認めなかった。肝内リンパ管侵襲について組織学的に検討したところ、軽度(ly1)、中等度(ly2)、高度(ly3)に分類することが可能であった。24症例全例にリンパ管侵襲を認めたが、ly3はN1でかつ、転移リンパ節個数3個以上の症例のみであり、リンパ節転移の程度とリンパ管侵襲の強度の関連性が示唆された。以上の所見をもとに、各症例におけるmatrix metalloproteinaseの発現プロファイリングの検討を進め、最終解析を行っている。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
Annals of Surgery
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1097/SLA.0000000000000287
International journal of clinical oncology
10.1007/s10147-013-0586-x
Hepatogastroenterology
巻: 60(124) ページ: 692-698