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2011 年度 実施状況報告書

脾臓摘出による新しい肝細胞癌発癌抑制治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23591980
研究機関筑波大学

研究代表者

渡辺 基信  筑波大学, 医学医療系, 講師 (00568959)

研究分担者 久倉 勝治  筑波大学, 医学医療系, 講師 (60550168)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード脾臓摘出 / 血小板 / 肝細胞癌
研究概要

肝細胞癌の多くは慢性肝炎、肝硬変を背景に多段階の発癌様式を示すことが明らかになってきた。現在の肝炎治療の主体として抗ウイルス療法が用いられているが効果的な発癌予防策はないのが現状である。我々はこれまでに血小板増殖因子であるトロンボポエチンおよびそれによって増加した血小板による肝線維化抑制効果を発見し報告してきた。肝硬変患者に脾臓摘出を行うことで血小板増加状態を維持し、肝機能改善効果が得られることが臨床においても報告されているが、脾臓摘出が肝細胞癌に与える長期的な治療成績は不明である。本研究は脾臓摘出に伴う血小板増加作用による肝細胞癌の発生、進展の抑制効果を検討することである。 本年度はまず脾臓摘出による肝癌抑制効果を検討するため、原発性肝癌モデルの作成を試みた。腫瘍免疫を検討する必要があるためSCIDマウスを用いることを回避し、C57BL/6マウスの肝左葉に同マウス由来肝癌細胞株であるHepa1-6を100万個局所注入した (n=16)。しかし、再現性のある肝癌の生着は認められず、原発性肝癌モデルの作成は困難であった。さらに肝細胞癌の自然発癌モデルとして癌抑制遺伝子Ptenの肝臓特異的ノックアウトマウス(Pten CKOマウス)を用いて、脾臓摘出による発癌抑制効果を検討した。雌雄のPten CKOマウスに対し、8週齢時に脾臓摘出を行い、脾臓摘出時から10週後、20週後、30週後に犠牲死させ肝組織を採取した。雌雄ともいずれの時点でも著名な脂肪肝が認められ,腺腫の形成も認められた。またWestern blot解析でAkt発現を検討したところ、いずれの時点でもp-Aktの抑制効果は認められず、Pten CKOマウスにおける脾臓摘出による発癌抑制効果は低いと考えられた。 今後は血小板の肝細胞癌に対する抗腫瘍効果判定のため、新たな肝癌モデルマウスの作成を継続する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

脾臓摘出に伴う血小板増加作用による肝細胞癌の発生を検討するために、肝局所注入による原発性肝癌モデルの作成を試みた。しかし再現性のある期待した結果が現時点で得ることが出来ず、研究計画に若干の遅れを生じている。また、肝細胞癌の自然発癌モデルとして実験に使用したPten CKOマウスにおいては、Pten CKOに起因するAkt活性の抑制が困難であることが判明し、脾臓摘出による抗腫瘍効果は認められなかったため。

今後の研究の推進方策

肝癌細胞株の局注による肝癌モデルの確立は困難であり、経門脈的注入または、虚血による一次的な肝臓への刺激を与えることでの肝癌細胞株の生着を期待し、今後肝癌モデルマウスの作成を確立する必要がある。 また自然発癌モデルとして用いたPten CKOマウスにおいては、Ptenが極めて強力な癌抑制遺伝子であるため、Pten CKOに起因するAkt活性を抑制することは困難であることを解明した。脾臓摘出に伴う血小板増加作用による肝細胞癌抑制効果を検討するモデルとしては、他の自然発癌モデルを検討する必要があると考えられる。 今後は血小板および血小板含有因子の肝癌細胞株へ与える影響をin vitroで検討することにしている。さらに、それをin vivoで検証し得る異なった肝癌モデル、自然発癌モデルを検討・作成する予定としている。

次年度の研究費の使用計画

1 : in vitroで血小板および血小板含有因子の肝癌細胞株へ与える影響を検討する。2 : 肝癌細胞株投与による新しい肝癌モデルの作成、および自然発癌モデルの作成を検討する。

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公開日: 2013-07-10  

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