研究課題/領域番号 |
23591981
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田島 秀浩 金沢大学, 大学病院, 助教 (00436825)
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研究分担者 |
太田 哲生 金沢大学, 医学系, 教授 (40194170)
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キーワード | EMT / 原発性肝癌 / 胆管細胞癌 / HDAC阻害剤 / Paclitaxel / 肝星細胞 |
研究概要 |
近年、ヒストン・デイ・アセチラーゼ (HDAC) 阻害薬、アンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)やタキサン系抗癌剤の少量投与が細胞の上皮間葉転換 (EMT: Epithelial to mesenchymal transition) を抑制することが注目されているが、これらの薬剤は細胞のEMTを抑制するとともに組織の線維化も抑制することが知られている。これらの薬剤は肝星細胞の活性化を抑制することで肝の線維化を抑制する効果に加えてラジオ波焼灼(RFA)、5-FUなどの抗癌剤による化学療法、放射線療法や動脈塞栓術による低酸素状態などの様々な抗癌治療により誘発される腫瘍のEMTを抑制することで転移や再発を抑制する効果を併せ持つ可能性がある。研究初年度(平成23年度)はHDAC阻害剤であるバルプロ酸(VPA)を用いてTGF-βによる肝星細胞の活性化を抑制する研究を行って学会および論文発表を行った。このほか、タキサン系抗癌剤(paclitaxel: PTX)を用いて原発性肝癌(胆管細胞癌)細胞株におけるEMT誘導を抑制する実験を行い学会発表した。2年目の平成24年度は胆管癌細胞株においてアンギオテンシンIIがEMTを誘導すること、ARBがEMT誘導を阻害することを論文で発表し、low dose PTXが胆管癌細胞株のEMTを抑制することを学会にて報告した。その後、肝星細胞の活性化をlow dose PTXにて抑制することを確認し、次年度に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝星細胞のTGF‐βによる活性化をVPAにより抑制できることを論文発表することができ、low dose PTXおよびARBにより胆管細胞癌におけるTGF‐βによるEMT誘導も抑制できることが結果として得られている。また、実臨床の胆嚢癌症例においてlow dose PTX療法が有効であることを症例報告し、現在、gemcitabineおよび5-FU系薬剤の無効化した膵胆道癌症例に対してlow dose PTX療法の臨床試験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度の平成25年度は肝星細胞のTGF‐βによる活性化をlow dose PXTが抑制することを国内学会において発表し、胆管癌および肝星細胞における相互作用とEMT抑制効果についてまとめを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使用については計画の変更はない。
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