研究課題/領域番号 |
23591985
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長田 真二 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80332683)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 進行肝臓がん / 凍結治療 / 抗腫瘍免疫 / サイトカイン |
研究概要 |
切除不能肝腫瘍に対する凍結治療の際に、治療部位のみならず非治療部においても抗腫瘍効果がみられた経験を経て、臨床例での採血結果等から抗腫瘍免疫賦活の関与を想定してきました。マウスを使ったこの度の研究により、詳細なメカニズムの解明を通し機能発現に最適な環境設定を目的としております。平成23年度には、まずは凍結治療モデルを確立し、次年度にかけて関与血清因子の測定、治療部位の組織評価を行うことを計画しております。1)MC38大腸癌細胞を脾臓内に注入し肝転移状態を誘導する凍結治療モデルでは、計画通り肝臓に多発腫瘍を作成しえますが、個数測定が困難にて治療効果を判定しえないため、治療後10日の段階で標本の摘出を行いました。10日まで生存したマウスは、凍結治療群で42.9%、非治療群(PBS注入)では16.7%でした。2)肝臓へ直接MC38を注入して単発腫瘍を作成し、癌細胞ペーストを毎週投与するという方法も並行して施行しております。癌細胞ペーストは培養細胞を直接凍結融解し5回処理にて完全に細胞が破壊することを確認した上で、各マウスを毎週開腹し腫瘍近傍に投与し、さらに前週の腫瘍状態との変化を治療群と非治療群にて写真撮影し比較しております。3MC38にて皮下に作製した腫瘍近傍に細胞ペーストを毎週投与し腫瘍径を計測するモデルも追加しました。その結果、腫瘍体積は、治療2週間目で凍結群が272.8±172.8、非凍結群が1608.8±1428.8、3週目には凍結群で690.8±245.3、非凍結群が2471.3±1863.8と、未だ比較個体数が不十分であるため有意差の確認には至りませんが、明らかな治療効果の発現がみられます。現時点では以上の進捗状況であります。上記全てのサンプル(治療中あるいは癌死後に採取した肝腫瘍など)は凍結およびホルマリン、いずれの状態でも保存しております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定としては、当科でのマウスにおける肝転移モデルを応用し凍結治療モデルを作成することが初年度の最大の目標でありました。実際に治療効果を評価するにあたり、多発腫瘍の個数を測定することが極めて煩雑であることが判明しましたので、当初の予定にも織り込んでおりました通り、肝臓へ直接注入することで単発腫瘍を作成し腫瘍径での比較を行うとこととしております。加えて、マウスに対する開腹という侵襲を回避し、簡便に変化を観察することができる皮下腫瘍モデルを追加しております。
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今後の研究の推進方策 |
肝腫瘍および皮下腫瘍による凍結治療モデルでの腫瘍径に対する検討を今後も一層推進いたします。さらにこれまでに得ることができた組織サンプルから、次年度以降の計画通り、増殖活性(PCR, Ki67等)の免疫染色およびIFN-γ、TNF-αなどTh1系サイトカイン、免疫賦活に関与するIL-2あるいはTh2系サイトカインであるL-4、IL-10の抗体を購入し、発現の程度を確認する予定です。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスでの凍結治療モデルを作成することとサンプルの評価を行うために、当初の計画通りの研究費にて検討を進めたく存じます。
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