研究概要 |
切除不能肝腫瘍に対する凍結治療の際に,非処置部においても腫瘍縮小効果がみられた臨床経験を経て,採血結果等から抗腫瘍免疫賦活の関与を想定してきました.その詳細なメカニズムと,効果発現の最適な環境設定を明確にすることを目的とし,マウスでの研究を計画しました.以下に現在の進捗状況を報告いたします. 1)CT26大腸癌細胞株をマウス皮下に注入し作成した皮下腫瘍モデルにて検討しました.CT26細胞株を凍結融解処理し完全な細胞破壊を確認した癌細胞ペーストを,毎週腫瘍近傍に注入する群(凍結群:n=27)とPBSを注入するコントロール群(非凍結群:n=28)での比較を行いました.腫瘍体積(mm3)は,治療開始2週目の凍結群551.0±426.1に対し,非凍結群717.5±679.2,4週目の凍結群2543.1±2153.0に対し,非凍結群3147.1±2752.5と明らかな治療効果を確認しました. 2)癌細胞ペースト投与量を2倍ないし4倍にすると,腫瘍体積は非治療群に比し1.3±0.23倍ないし1.46±0.11倍と,投与量に応じて逆に腫瘍増大がみられ,過大な凍結治療はむしろ腫瘍縮小には不利と判明しました.これは臨床経験から得られた,凍結融解組織量が多いと免疫寛容に至るとの推察を証明する結果とも評価しえます. 3)免疫学的機序の系時列的変化を観察する目的で,治療後0,6,12,24時間後の各マウス皮下腫瘍を採取しWestern Blottingにて発現シグナルを確認しました.その結果腫瘍免疫に関わりの深いIL-2とTNF-αが,治療回数や時間に応じ徐々に組織内で出現する事が確認されるに至っています.未だサンプル数が不足しており今後さらに追加検討を行います. なお,上記全てのサンプル(マウス皮下腫瘍,マウス血清)は凍結・ホルマリンいずれの状態でも保存してありますので,必要に応じ追加検討は可能です.
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