研究課題/領域番号 |
23591986
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊神 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50420378)
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研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60378023)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Senescence |
研究概要 |
【背景・目的】細胞老化とはテロメア短縮に起因する不可逆的な細胞の分裂停止で、細胞は様々なストレスにより増殖を停止し細胞老化状態に陥ることが知られている。最近、癌遺伝子により誘導されるテロメアの短縮を伴わない細胞老化であるOncogene induced Senescenceが細胞の癌化抑制機構であることが明らかになった。本研究の目的はOncogene induced Senescenceの解明により新規治療法を開発することである。【本年度実施した研究と結果】ヒト胆管癌由来細胞株HuCCT1に対してヒト遺伝子siRNAライブラリーを用いてsiRNAの導入を行い、48時間の培養を行った。これらの細胞に関してMTTアッセイ法による増殖能、SAβgal(senescence-associated βgalactosidase)を用いた免疫染色による細胞老化について検討した。ヒト遺伝子siRNAライブラリーに含まれる遺伝子のうち数十種類の遺伝子に増殖抑制効果を認めた。また十数種類の遺伝子に細胞老化の誘導を認めた。増殖抑制効果をおこす遺伝子と細胞老化を誘導する遺伝子は完全には一致しなかった。細胞老化を誘導した遺伝子を標的としたsiRNAの作成をおこなっている。【意義・重要性】Oncogene induced Senescence機構から逃避した細胞の癌化機構の解明により新たな知見の得られる可能性がある。また癌化機構の解明により新たな癌治療法の開発も可能であり、本研究は意義のある研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中にヒト胆管癌由来細胞株に対してヒト遺伝子siRNAライブラリーを用いてOncogene induced Senescence関連遺伝子の同定を行い、Oncogene induced Senescence関連遺伝子を標的にしたsiRNAの開発とその機能解析を行う予定であった。ヒト遺伝子siRNAライブラリーによる遺伝子抑制の結果、数十種類の増殖抑制に関する遺伝子および十数種類の細胞老化の誘導に関する遺伝子の同定が行えたが、増殖抑制を認めた遺伝子と細胞老化を誘導する遺伝子が異なっており、標的遺伝子の同定に時間がかかった。そのためOncogene induced Senescence関連遺伝子を標的としたsiRNAの作成、その発現抑制効果の検討が行えなかった。また胆管癌細胞株にOncogene induced Senescence関連遺伝子を標的としたsiRNAを導入し、増殖能、浸潤能、細胞死などへの影響や免疫誘導に関する検討も行うことができなかった。予定としてやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Oncogene induced Senescence関連遺伝子を標的としたsiRNAの作成まで行えており、その発現抑制効果の検討を行う。また胆管癌細胞株にOncogene induced Senescence関連遺伝子を標的としたsiRNAを導入し、増殖能、浸潤能、細胞死などへの影響や免疫誘導の有無を検討し、その機序を解明する。Oncogene induced Senescence関連遺伝子を標的にしたsiRNAの投与後、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析を行い、シグナル伝達系について明らかにし、その機構を解明する。Oncogene induced Senescence関連遺伝子のうち、有用なものについて小分子化合物のスクリーニングを行う。候補化合物を選択し、可能ならば胆管癌細胞株でその有効性について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Oncogene induced Senescence関連遺伝子を標的としたsiRNAの合成費DNAアレイキットの購入費小分子化合物のスクリーニング費用
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