研究課題/領域番号 |
23591986
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊神 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50420378)
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研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60378023)
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キーワード | Senescence |
研究概要 |
Oncogene induced Senescence関連遺伝子としてHJURP(Holliday junction recognition protein)を同定した。HJURPはヒストンシャペロンの1種であり、中心体の形成への関与が報告されている。本年度はヒト胆管癌細胞株 HuCCT1、RBE、膵癌細胞株Panc1、PK9においてHJURPの発現をウェスタンブロティング法、RT-qPCRにて検討した。胆管癌細胞株、膵癌細胞株のいずれにおいてもHJURPは発現していたが、正常膵臓由来細胞株RI515においては、HJURPの発現を認めなかった。 胆管癌切除標本58例、膵癌切除標本15例を用いて癌部、正常部のRT-qPCRによるHJURPの発現解析を行なった。HJURPは胆管癌の癌部で発現が亢進していたが、正常部ではほとんど発現を認めなかった。膵癌においてもHJURPは正常部と比較して癌部で発現が亢進していた。 また胆管癌症例、膵癌症例でのHJURPの臨床病理学的検討を行った。胆管癌においてHJURP発現と予後は相関しており、HJURPの高発現群では予後不良であった。膵癌症例においてもHJURPの高発現群では予後不良であり、HJURPは胆管癌、膵癌における予後の予測マーカーになる可能性が示唆された。 HJURPを標的としたsiRNAの作成し、ヒト胆管癌細胞株 HuCCT1へ導入しウェスタンブロティング法による発現抑制効果の検討を行った。胆管癌細胞株において抑制は良好であった。増殖能、細胞死に関する検討では関連性を認めなかった。今後HJURP siRNA投与後の細胞株での網羅的遺伝子解析を行い、シグナル伝達系について明らかにし、その機構を解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたOncogene induced Senescence関連遺伝子の同定に関して、HJURP(Holliday junction recognition protein)を同定した。またHJURPを標的にしたsiRNAの開発と増殖能、細胞死に関する機能解析を行なった。HJURPに関する臨床病理学的検討も行なっている。一方でOncogene induced Senescence機構の基礎的研究が十分行なえなかった。予定としてほぼ順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Oncogene induced Senescence機構の解明のためにHJURP siRNAを造血幹細胞、骨髄細胞に導入し、免疫誘導の有無を明らかにする。またHJURP siRNAの投与後、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析を行い、シグナル伝達系について明らかにし、その機構を解明する。HJURPの小分子化合物のスクリーニングについても行い、候補化合物を選択し、可能ならば胆管癌細胞株でその有効性について検討する。胆管癌の皮下発癌モデル、腹膜播種モデル、肝転移モデルでのHJURP siRNA投与を行い癌細胞への導入効率、抗腫瘍効果、副作用について検討する。本年度行なったHJURPに関する臨床病理学的検討をさらに進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
HJURPを標的としたsiRNAの合成費 DNAアレイキットの購入費 小分子化合物のスクリーニング費用
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